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2017年06月の記事一覧

自転車博物館『巨匠の追い求めた美しい自転車』展

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自転車部品メーカーシマノが篤志で運営している自転車博物館 サイクルセンターで開催されている特別展「巨匠の追い求めた美しい自転車展」を見に行ってきました。

2階の入口のすぐ側で4台のみ展示されているミニ企画展示で 2017年5月18日(木)~7月17日(祝)の期間、ハンドメイドサイクル界の2大巨匠 栗田秀一と今野義の両氏の自転車が各2台展示されます。

 

<テーマ展示>

・栗田 秀一「曲線の造形美の自転車」 Möbius  メビウス
・今野 義「速を追求した機能美の自転車」 3rensho シクロウネ

 

■ 栗田 秀一

カァーヴェィシャス フレームの造形美を求め、高強度鋼管を自由に操り、美しい曲線にて構成した立体的造形の自転車。その究極は『左右非対称フレーム』となって表現された

 

mobius cycle

mobuis kurita

kurita cycle

handmade cycle

frame builder

栗田氏は東京・浜松町にて1914年からMöbiusブランドのオーダー自転車を製造していて、卓上の知識や真実性のない数値を否定し、乗り手と自転車のトータルバランスを限界まで追求したレース用自転車やツーリング車などを「経験則」と「人間通の関与」により大観的な感性にて製作していました。

哲学と芸術を融合したような複雑なフレーム構造は、通常の11本のチューブで構成される自転車とは全く違う個性的な造形をしています。

mobuis cycle

kurita cyclesport

3d cycleframe

 

 

 

 

 

■ 今野 義
選手の持つ“力を最大限”に引き出させ、 “空気抵抗を最小限”にし、速く走る 自転車を創造し作り上げた自転車。その結果として「1996年 アトランタ オリンピック」にて銅メダルを獲得。 より速くの機能美が追求された自転車はブローダックスにて表現された

3rensho

3rensho konno

 3rensho cyclone konno

cyclone konno

今野義氏の兄は日本の自転車ビルダーのパイオニア今野仁氏(今野製作所・CHERUBIM)で、義氏は丸石自転車に勤務した後、1973年神奈川県東大和にてシクロウネを立ち上げ3RENSHOブランドのハンドメイドサイクルを製作。

マウンテンバイクやロード、トライアスロンからラグ、エンド、部品までを自身で作成し、後期にはチーフビルダー牧野政彦氏とともに世界を目指し、アトランタ五輪では十文字貴信選手がトラック種目(1kmタイムトライアル)にて銅メダルを獲得しました。下(写真)は十文字選手の五輪で使用したサブバイクですが、レースをしているようなイメージの平置きの展示だったので、写真を撮るのが難しく、全くうまく撮れませんでした。すいません…

 

 

3rensho cycle

 

 

cyclone 3rensho

jyuumonji

jyuumonnji 3rensho

 

 

 

 

 

 

 

 || 自転車博物館 サイクルセンター

shimano cyclemuse

住所:大阪府堺市堺区大仙中町165-6 大仙公園内
運営:財団法人 シマノサイクル開発センター
アクセス:JR百舌鳥駅 徒歩10分
営業:10:00-16:30 (月曜閉館)
料金:一般 200円 (団体・学生・障がい者・高齢者割引有)

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谷垣禎一氏が会長を務める「日本サイクリング協会」の消えた2.7億円問題から1年

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ちょうど一年前の2016年6月27日、
インターネットニュースサイト「産経ニュース」が以下のように報じました。

 

公益財団法人「日本サイクリング協会」(東京都品川区)が、コンサルティング会社に運用を委託した資金約3億円のうち、約2億7千万円が回収できなくなっていることが27日、協会への取材で分かった。同社側は協会に対し、当初の説明とは別の事業に投資したと話しているが「返済の意思はある」と説明しているという。

協会によると、平成23年3月ごろ、東京都内のコンサル会社に資産運用を相談した。「シンガポールの銀行の割引円建て債を約2億6千万円で購入すれば3年後に3億円になり、約4千万円の利息も入る」との説明を受け契約。約2億6千万円を入金した。

26年3月には資金が3億円になったとして、この3億円の運用について改めて契約したが、今年3月に同社から「資金は無関係の事業に投資して焦げ付かせた」と説明を受けたという。協会は今年1月までに約3千万円を返却させたが、残りの約2億7千万円は回収できていない。(産経ニュース 2016 6/27)

 

「日本サイクリング協会 (JCA)」は政府監督下の財団法人で、1964年に設立の歴史のある組織です。

サイクリング指導員の育成、サイクリングの研究や大会の開催などの事業を行っているほか、各都道府県のサイクリング協会に日本自転車工業会や競輪(JKA)から得た活動費を分配したり大会を運営したりしている団体です。

50年以上の歴史がある組織ですが、少し前より会員数が減少していて存在感が低下していました。
しかし、自民党の代議士谷垣禎一氏に会長が変わると状況は大きく変化します。

 

jca
▲ JCAの組織図 (ホームページより)

 

ご存知の通り谷垣氏は自民党幹事長を務めていた有力代議士で、大の自転車マニアとしても知られています。

そのマニアっぷりも筋金入りで、大学時代はサイクリングに熱中するあまり留年、自転車のコレクションもデローザのキング,チネリのスーパーコルサ,アレックスサンジェのスポルティーフなど1台数十万円クラスのスポーツ自転車を複数所有し、度々自転車雑誌に登場しては熱弁をふるったり、イベントや公演などにも東奔西走していました。

ここ数年自転車ブームは谷垣会長の力添えがあったからこそで起きたといっても言い過ぎではなく、その集大成が2016年12月に成立した自転車活用推進法でした。

 

jca

 

ところが、立役者の谷垣会長は資金問題発覚直後の昨年夏に皇居周辺をサイクリング中に転倒、当初自民党は軽傷と公表しましたが、後日、頸髄損傷の重傷と訂正し長期入院、その後は国会はおろか公の場に一切姿を見せていません。

これらの問題をめぐるマスコミ各社の報道も冷ややかで「産経ニュース」が報じた以外は、読売新聞の取材に対しJCA側が「概ね事実」と認めたことをインターネットで報じた程度で、新聞紙面やテレビなどでは報じられていません。

 

協会資金は戻ってくるのか?
東京都内のコンサル会社とはいったいどのような会社なのか?
またなぜ協会資金の大半といえる3億円もの大金をこのコンサル会社を介し運用したのか?

資金喪失のまでの経緯やJCAとコンサルの関連性など
マスコミ報道がほとんどないため(資金問題を本投稿で初めて知った方も多いと思います)、多くの疑問点が残ります。

また輪界人として運営資金を失ったJCAの継続性と谷垣会長の回復具合もたいへん気になります。

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BROOKSの本革サドルの後部に付いてるこの金属フックってなに?

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ツーリングやアンティーク車などの愛好家に絶対的な支持を得てるブルックスの本革サドル。熟練の職人が手作業で丁寧につくられる英国製サドルで、世紀を超えて多くのサイクリストに使用されている名品です。

 

美しいフォルムに目がいきがちですが、後部に付いているこの金具の使用の方法はご存知ですか?

brooks saddle

両側に5x20mm程の横長の穴が開いた金具はひっくり返すと裏側でつながっていて、表面素材の牛皮を補強する構造になっています。この金具のフックの部分は、サドルループと呼ばれ「team pro」や「colt」などの一部のモデルを除き、ほとんどの同社の本革サドルについています。

 

 

専用サドルバッグとともに使い込む

 

サドルループは専用の小型鞄を取り付けるための取付穴で、専用品のツールバッグ「Challenge」やサドルバッグ「Millbrook」などを装着し使用します。

 

 

challenge
Challenge Bag  ¥11,400

ツールバッグ「Challenge」は上質なレザーでつくられた小型工具入れで、ふたを留めるベルトが、中に収納した工具を固定するベルトを兼ねていて中で音をたてたり暴れるの防ぐ設計になっています。

 

 

 

millbrook
Millbrook  ¥20,600

防水コットン製の中型のサドルバッグ「Millbrook」は2本のベルトでブルックスサドルのフックに装着できます。地図やカメラ・携帯食など日帰りツアーにぴったりの容量です。1950年代の復刻モデルです。ショルダーストラップ付。

 

 

 

brooks glenbrook
Glenbrook    ¥23,600

両サイドにポケットがついた、1950年代のモデルを復刻した防水コットン素材の大型サドルバック。1泊ツーリングにも対応する容量。2つのベルトでブルックスサドルのフックにしっかりと固定できます。ショルダーストラップ付。

 

– –

 

raleigh brooks
▲ 1960年代のラレー・インダストリー社(アメリカ)の古いカタログ
かつてはバッグの種類も多く、「milibrook」や「grenbrook」も掲載されています。

 

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新たな自転車の100年が始まる、茅ヶ崎美術館 企画展「自転車の世紀」

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茅ヶ崎市美術館で開催されていた企画展「自転車の世紀」を見てきました。

 

chigasaki cycle

東京・品川からJR線で1時間弱、神奈川県の中部に位置する茅ヶ崎。サザンオールスターズゆかりの地としても知られるこのまちは、2017年でちょうど市制70周年をむかえるそうです。日本最古の自転車レースが開催された場所でもあり、かつてはミヤタが本社を置いていたこともありました。「人と環境にやさしい自転車のまち」を目指しているようで市立美術館で開催されていた 企画展「自転車の世紀」にいってきました。

 

 

chigasakimuse

茅ヶ崎美術館はJR茅ヶ崎駅より南へ歩くこと10分ほど、静かな住宅街のなかの緑地公園内に所在します。それほど大きな都市でもないのに市営の美術館があるとは文化水準が高いですね。同館で直接アートではない展覧会が開催されるのは初めてのことだそうです。

 

 

chigasaki bicycle

少しブログの更新が遅れてしまって、企画展は終了してしまっていますが、下記のスケジュールで今後他の美術館で開催されますので、ぜひ見に行ってください。

 

<企画展 自転車の世紀 開催スケジュール>

・茅ヶ崎市美術館 2017年4月9日~6月4日 (終了)
・郡山市立美術館 2017年7月22日~9月24日
・佐倉市立美術館 2017年10月28日~12月17日

 

– –

自転車誕生200年、自転車は富裕層のおもちゃとして考案され現在では世界中で移動手段やレジャー、運搬などに使用されています。企画展は4章構成で、自転車の登場から歴史、生活文化、芸術、未来像など21世紀における価値の可能性を示唆する展示となっています。

 

1.自転車の辿った道
自転車誕生200年の歴史を貴重なアンディ―ク車とともに紹介しています

 

tricycle
▲1890年 フランス製の子供用トライシクル(三輪車)

ordinary  safetybicycle
左/1884年製の大きな前輪のオーディナリー自転車
右/1892年製のチェーンドライブ式セーフティ自転車(安全型)

 

chigasaki bijyutsukan
▲1969年 フランス製 ルネ・エルスのスポーツ自転車「ロンシャン

 

 

 

2.描かれた自転車
美術館らしくポスターやカタログ、錦絵、漫画などを紹介しています

uenokouen
▲ポスターやカタログ、浮世絵などが展示されています

 

yowamushipedale▲累計発行部数1600万部のオタク漫画「弱虫ペダル」の複製原画。「タッチ」や「スラムダンク」同様に落ちこぼれの高校生が部活動を通じて成長していく王道路線のスポコン漫画。

 

 

 

 

3.自転車の活用 - 日常・ビジネス・ファッション
20世紀になり自転車は生活に不可欠な実用品として普及します

 

cyclewear▲ 通気性や軽さを追求したサイクルジャージ

tweed run
▲ クラシックな自転車にツイードジャケットを着たスタイルでグループサイクリングをするツイードランがロンドン,大阪,ニューヨークなど世界各地で開催されています。

 

 

 

 

 4.モビリティの未来
20世紀は「自動車の世紀」といわれたが、21世紀は「自転車の世紀」となるのだろうか。環境問題や交通渋滞対策など自転車が社会問題を解決する自転車革命の可能性をさぐる
cherubim
▲ 英デザイナー集団TOMATOのリーダーと日本のフレームビルダー今野真一氏が共同でデザインした近未来的なフレーム構造

 

 

 

 

 

 

|| 茅ヶ崎市美術館

chigasaki muse 2017 the century of bicycle
住所:神奈川県茅ケ崎市東海岸北1-4-45
アクセス:JR茅ヶ崎駅 徒歩8分
営業:10:00-17:00 (月曜閉館)

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【名車紹介】加藤一氏のエルス「LONGCHAMP」をみてきました

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神奈川県茅ケ崎市にて開催の「自転車の世紀展」に行ってきました。
展示自転車の中の1台、1969製作 ルネ・エルス「ロンシャン」を本稿では紹介します。

chigasaki bijyutsukan

ルネ・エルス(1908~76)はフランスの名工で「パリの宝石」と称されるほど美しく贅沢な自転車を精力的に製作し、昭和中期以降の日本の自転車文化にも影響を与えた故人です。エルスは日本人向けにも数百台の自転車を作成しましたが、その中でも沼勉氏がオーダーした「RANDONNESE(ランドヌーズ)」と加藤一氏の「LONGCHAMP(ロンシャン)」は研究素材とされ格別なあつかいをされている名車です。

加藤氏は元競輪選手で、引退後はフランスに移住し画家として活動され、沼氏の紹介でエルスの工房を訪れ、オールメッキのこの現車をオーダーしたそうです。時期としては沼氏の「ランドヌーズ」のオーダーの2年後の69年のことで、加藤氏は沼氏のオーダー時にも立ち会っていたそうです。

 

lyli herse

エルスの自転車は1954年に日本の自転車研究の第一人者である鳥山新一氏が初めて国内に持ち込み、以来、東叡社やニューサイクリング誌を選好する当時の趣味人によって日本のツーリング車の理想像とされてきました。60年代後期は比較的舶来部品も容易に入手できるようになり、日本からの難しい注文も増加していた時期のようです。

 

herse longchamp

「ロンシャン」は簡易のマッドガードが付いたロードバイクで、ホリゾンタル型の美しいシルエットをしています。ダニエル・ルブールの線画カタログでは、コロンバス製のフレームとなっていますが…

 

rene herseフレームパイプはレイノルズ社製のマンガンモリブデン合金、加藤氏の注文でロゴは白い塗料で手書きされています。そして、ボトル台座の位置がダウンチューブではなくシートチューブになっています。

 

 

reneherse stem

ジュラルミン鍛造の角材から削り出された完全ハンドメイドのエルス自作のステム。突き出し部が空洞でブレーキワイヤーのストッパーが設けられています。

reneherse stem

 

 

 

 

reneherse longchamp   bluemels
左/ ブレーキワイヤーは穴あけ加工されたフレーム内に取りまわされている
右/ リアのテールに反射板の付いたブルーメルの簡易フルフェンダー

 

 

colombus

 

駆動系などのパーツは「MILANO-SAN-REMO」のレーシーな仕様にカスタマイズされています。

campagnolo 1969      huret reneherse
右 /Fメカはカンパのレコード、フロントギアはトリプル
左 /リアメカはカンパのヌーボレコード 6スピードの高速仕様

 

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herse milan-sanremo
▲ 参考 -レイノルズフレームにカンパドライブの「MILAN-SAN-REMO」

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1969 saddle

サドルはユニカのブラックの革貼り

 

longchamp 1969

ブレーキはシートステイに設けられた台座を使用、ブレーキアーチ内側とタイヤの間にドロヨケを通されています。

 

reneherse 1969

| Longchamp ロンシャン (1969年製)

<SPEC>
フレーム: レイノルズ531 クロモリ シルバーメッキ
変速:カンパニョーロ 3×6速
ブレーキ:ワインマン センタープル
タイヤ:クレメン ロード用
サドル:ユニカ
ステム:エルス
ドロヨケ:ブルーメル
ペダル:カンパニョーロ

 

 


 

 

chigasakimuse

この「自転車の世紀展」では東叡社のツーリング車 1968製「パリ・ブレスト・パリ」とあわせてわかりやすく展示してありました。

herse paris-brest toei paris-brest
左/エルス「PARIS-BREST」
右/東叡社「パリ・ブレスト・パリ」

 

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