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2023年4月1日より道路交通法が改定され、自転車使用時にヘルメットが努力義務化されます。これまで、13歳未満の子供に対して保護者が着用させる交通ルールでしたが、4月からはすべての人が対象となり、戸惑いの声が寄せられています。

今回の改正では「努力義務」のため、罰則はなく基本的には着用は使用者のセンシティビティにゆだねられています。ヘルメットは交通事故発生時に頭部への衝撃を軽減するため、大阪でも2016年から条例が施行され府警などが中心となり高齢者にヘルメット着用を推奨しています。

かつては全国で年間2000件近くあった自転車事故の死者数は、ここ数年で大幅に減少し昨年は339件、およそ1日ひとりが亡くなっているという状況です。国内に自転車はおよそ6000万台あり、大阪府にはその1割の600万台あるとされています。死亡事故も約1割の年間30件ほどで、年齢別でみると高齢者の割合が高く2021年は27件中22件が65歳以上の高齢者で、20~40歳代の死者は1名でした。

 

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▲年齢別自転車関連事故死者数と構成率(過去5年) 大阪府警

 

自転車事故死の問題を考える上で、道路交通規則違反が事故死に直結するようなイメージをしがちで、道路環境の整備や交通ルールの順守で問題が解決できると考える人もいるかと思いますが、統計を見る限りでは状況はそう単純ではなく、高齢者が多い社会構造が根底にあるといえます。

ヘルメットを販売している立場でこれは言いにくいのですが、20~40歳代の年間死亡者数が1名なのに、使用者全員にヘルメット着用を求める政策は日常生活の利便性が失われ長い目で見ると自転車の利用者の減少につながるのではないかと懸念しています。

 

jitensha jiko

 

自転車事故が増加しているならまだ法律の改正も納得いくのですが、自転車関連事故が過去45年で最少となっているこのタイミングでなぜヘルメット着用を義務付けるのでしょうか。

国内で自転車用ヘルメットを生産する企業は東大阪のオージーケーカブトの1社のみで、大需要に対応できず現在庫は即完売状態となっています。昨年12月に決議され本年4月施行と、3ヶ月という短期日では工場の増設どころか、海外品の輸入契約ですら時間が少し足りません。さらに欧米メーカーのヘルメットはお値段が少々お高く、そもそもわれわれモンゴロイドの骨格にフィットしません。

 

helmet 2023

 

このような人命に関わる社会課題は「トロッコ問題」とされ、原発再稼働やコロナ経済など議論されてきました。自転車ヘルメットの努力義務化は寝耳に水で、いったい誰が請願した改正案なのか首をかしげたくなります。成立後にこんなこと言っても仕方ありませんが、私案としては事故増加傾向にある65歳以上を努力義務にし、推移を観察してから、必然性を判断し生産年齢層に段階的に導入した方が「ヘルメット不足問題」も緩和できたように思います。

マスクの次はヘルメットか…と悲観する方も多いと思いますが自然災害や有事の際に防災頭巾として、自転車に乗らない方も防災グッズとして確保しておくと安心かと思います。現在、一部の商品が品薄でご迷惑をおかけしておりますが、店頭在庫は確保をしておりますのでよろしくお願いいたします。