Pocket
Bookmark this on Google Bookmarks

昨年末の本ブログで、大阪市「新今宮駅」の放置自転車が全国ワースト1であるという投稿をしました。大阪市による駐輪場数が不十分であり撤去自転車が他の自治体と比べ桁違いで、その背景をたどると在日朝鮮人による「鉄くず」収集という非常にデリケートな歴史的問題に行き着き、一筋縄にはいかないという内容であるという投稿です。この問題は引き続き本ブログで考察していきたいと思いますが、大阪には改善して欲しい社会問題がまだまだあります。

 

人身事故 全国ワースト1 「法円坂交差点」

日本損害保険協会「全国交通事故多発交差点マップ」によると2020年の交通事故の全国ワーストが大阪の「法円坂交差点」だそうです。協会によると人身事故件は交差点に集中、件数の多い交差点のランキングを公開しています。

 

hoenzaka

 

第1位 法円坂交差点 (大阪府) 22件
第1位 針摺交差点   (福岡県) 22件
第3位 梅新東交差点 (大阪府) 18件
第4位 讃良川交差点 (大阪府) 16件
第4位 西本町交差点 (大阪府) 16件
第6位  谷町9丁目交差点(大阪府) 15件
第6位  樋口町交差点 (大阪府) 15件
:

法円坂交差点の人身事故件数は22件、福岡県の交差点と同数でワーストとなっていますが、上位の大半が大阪府下の交差点となっています。大阪は人や自動車が密集しているため、全体として上位になりやすいのかもしれませんが、それ以外にも何か理由があるのでしょうか。自転車利用者としても事故に巻き込まれないため、現地がどのようなところなのか調査してきました。

 

houenzaka

大阪市中央区法円坂、交差点は南北に走る「上町筋」と東西に貫く「中央大通」が交差する場所で、大阪城天守の南西側、要するに大阪のド真中に位置しています。法円という名称からもわかる通り、高低差があり坂の頂上付近で、十字だけでなく高架道と合わせて上下にも交差した複雑な構造となっています。大阪は比較的平坦で坂道は少なく、大きな坂「大」の地名もこの上町台地の高低差に由来し、歴史的にも重要な坂となります。

それだけではなく、この交差点は「日本」「天皇」という呼称など自国史の起源となる重要な地なのです。

 

osaka

 

「中央大通」は今から1400年程前の7世紀の史跡「難波宮」の中を貫き敷設されています。難波宮と聞いてピンと来ない方は「大化の改新」が行われた場所と説明すると分かりやすいかもしれません。「大化の改新」は古事記や日本書記などの最古級の歴史書が編成される以前の出来事で、その正確な所在地は長らくミステリーとされてきました。

 

namiwanomiya

 

「我、幻の大極殿を見たり!」

 

1952年、堀江出身の考古学者・山根徳太郎は、それまで正確な所在が分かっていなかった「難波宮」を発見、古代国家史上最大の国政変革は戦後になってからの発掘でその詳細が分かるようになりました。日本人にとって非常に重要な難波宮は割と最近まで地中に埋まったため、道路が先んじて敷設されしまったのです。

このように国史上、重要な古都「難波宮」ですが、「平城京」や「平安京」などと比べ、イマイチ知名度が低い感じが否めません。そこで、大阪市と大阪府は難波宮遷都2050年に向けて国指定の史跡を再整備し、NTT都市開発を中心としたグループを指定し、レストランやカフェなどを整備し2024年の工事完成を目指し観光地化する計画となっているようです。

 

そうなると、ただでさえ全国ワーストの危険交差点がより、事故が増加しないのかという懸念が残ります。

この交差点での事故を分析すると、自転車は歩道橋を押して走行する構造になっているため、自転車事故は少なく、自動車の動静不注視による追突事故が多いようです。協会は十分な車間距離を取るようにドライバーに呼び掛けていますが、複雑に行き交う走行路や交通標識などに問題はないのかを再検証する必要性があるように感じます。

 

hodoukyou

 

2020年は全体として交通事故死者数が統計開始以来初めて3000人を下回ったそうです。交通事故発生件数もこの20年間減少を続け、30万件を下回る水準になってきています。減少の理由として、自転車レーンの設置や交通安全教育・悪質運転の取り締まりの強化などで自動車・自転車利用者のマナーが向上が主要因で、コロナの影響で外出機会が減りさらに大きく減少しました。

マスコミの印象操作やSNSデマで「危険!自転車交通事故は増えている!」などという内容を目にすることがあります。これは事実はありません。大前提として近年は交通事故は大激減しているというファクトと合わせて考察し、まちづくりしていくことが重要となります。

データは交通事故低減のヒントとなり、毎年取りまとめられて交差点改良の参考資料となります。今後も法円坂交差点の事故がどのようになるか注視していきたいと思います。