堺東のシマノ自転車博物館で開催中の「古文書から紐解く江戸時代に考案された自転車」展をみてきました。

シマノ自転車博物館はもともと、大仙公園の仁徳天皇陵の南西側に博物館ですが、シマノが創業100周年を迎えた2022年春に3.5倍に増床しリニューアルしました。新施設は以前の場所から南に1km、堺市役所などがある市の中心駅の南海高野線「堺東」駅から徒歩5分の好立地で、更地から建てられた自社施設となっています。大阪市内からだと南海「なんば」から乗り換えなしで20分ほどで行けるようになり利便性が向上、特別展「古文書から紐解く江戸時代に考案された自転車」を見てきました。

施設の入場料は500円、特別展は2025年3月23日まで4階北側の特別展示室で開催され、追加料金は必要なく常設展示と併せて観ることができます。今回の特別展は「陸船車」と言われている舟の形の木製のレプリカが2台、享保年間の古文書の解説とともに展示されています。

2台のうち1台は「門弥式陸船車」(千里行車)と呼ばれる車で埼玉県の農民の庄田門弥(しょうだ もんや)が江戸時代中期1729年に制作されたとされる船の形をした乗り物で、踏み板を踏んで車輪を回転させる機構にぜんまいが組み込まれているとされ、実在したとするなら世界初の自転車となります。マクミランによってペダル式自転車が考案されたのが1839年なので実に100年近く前にこのようなペダル付の乗り物が考案されていたということです。

近江藩の平石久平次(ひらいし くへいじ)によって書き写された「新製陸舟奔車之記」に解説と図面が記録され、方向を変える操舵機構はなく、後に考案される「久平次式陸船車」の原型となったとされています。復元されたレプリカはコム製のタイヤのないの木製四輪車で、構造図や後の資料を元に製作されたものとなります。

もう1台は「久平次式陸船車」(陸奔舟車)と呼ばれる舟型の三輪車で、1732(享保17)年に彦根藩の武士の平石久平次(ひらいし くへいじ)によって考案され、下駄でできたペダルで車輪を駆動して走る方式で、テレビ朝日が復元したものが現在は彦根市立図書館されているようです。

そもそも自転車の起源は1813年のドイツとされていますので、1700年代に西洋文明から遠く離れた日本のこのような乗り物の資料の存在は非常に興味深く、文明史におけるオーパーツと言えます。連綿と続いている西洋の自転車文明と接点がなく、途絶えてしまって現車が残っていないため、自転車史の原点と考えられることはほとんどありませんが、素晴らしい着眼点だったことは間違えありません。

|シマノ自転車博物館
[開館時間] 午前10:00~午後4:30(入館は午後4:00 まで)
[休館日] 月曜日(祝日の場合は火曜日)、年末年始
〒590-0073 大阪府堺市堺区南向陽町2-2-1
代表:072-221-3196



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