大阪市の北側にある豊中市は国交省の2015年の交通移動調査で「自転車+徒歩」の構成割合が国内主要都市の中で大阪市51.2%、京都市44.5%についで多い第3位の42.3%と、エコロジーなまちのようです。豊中市の電車交通は阪急宝塚線、北大阪急行、大阪モノレールの3路線あり、自動車がなくても移動しやすいまちとなっていて、公共交通機関の利用比率も高く、34.1%となっています。

 

 

2013年、阪急電鉄は4駅の駅名を改称、豊中市にある「服部駅」は「服部天神駅」へとなりました。駅は服部天神宮の境内の中につくられた経緯からホーム内にご神木が残されるなど、駅名改称はその縁から観光客を呼び込む狙いで実施されました。

 

 

服部天神宮は駅から徒歩2分、菅原道真が祭神に祈願して足の病を癒したいわれから「足の神様」として勧請され、親しまれているようです。自転車だとサイクルショップ203のある大阪市内から1時間ほど、豊中市の国道176号線沿いに鎮座しています。

 

 

私は駅名改称後に同天神宮の存在を知り、昨年の「服部 足祭り」の報道で初めて「足の神様」であることを知りました。訪れると杖をついた老人や合格祈願の学生などひっきりなしに参拝者が訪れていました。お話をうかがうと足祭は3年前から始めた祭りで古い祭りの写真などはないそうです。

 

「足祭りは3年前からです、スポーツ選手などもよく参拝されています」

 

ランナーやサッカーなど足を使うスポーツをする人の参拝も多く、本殿にはJリーグチームガンバ大阪のユニフォームも奉納されていました。

 

 

春の「くつ祭り」の方も恒例行事となっているようで、下駄の形をした絵馬があり、サイクリングの無事を祈願している人もいました。図書館で過去の新聞記事をサーチしてみると同天神が「足の神様」として多く紹介されだしたのはJリーグ発足後の1990年代以降で、それ以前は近隣の住民が合格祈願や交通安全のご利益を求め、参拝するような神社だったようです。

 

 

足の健康を祈願する神社は京都の神足神社などいくつかあるものの意外と少なく、サイクリングや自転車競技をする方は初詣に参拝してみてはいかがでしょうか。服部緑地に競輪場があったことと関連があるのかと思いましたが、そのようないわれは全くないそうです。

 

「個人的な参拝はあったかもしれませんが、競輪と関連性はありません」

 

自宅に戻りシクロジャンブルの安田実代表に聞いてみると、同天神は古くから「足の神様」として周辺住民は認知していて、豊中市教育委員会発行「とよなか歴史・文化財ガイドブック」には江戸時代後半には多くの参拝者を集めていたことが紹介されていると複写をいただきました。安田代表は豊中在住で元大学理事で特に阪急グループの歴史に詳しく、現在は地域振興のNPO法人の運営をしています。

 

 

服部天神の北側の服部緑地にはかつて東洋一といわれた3万人収容の府営競輪場があり、豊中市も市営競輪を主催していました。

1948年に住之江競輪場が爆発的な人気を博すと市内の各都市が次々と開催に名乗りをあげ、豊中は用地提供や建設費負担など好条件を出して誘致、高い事業収益をもたらしました。しかしながら、公営ギャンブルの有益性を見誤った赤間文三知事(当時)が独断で府営施設の全廃を決定、市営競輪は人口に見合わない多額の収益をもたらしていましたが、知事の方針で5年という短い期間で幕を下ろしました。

このような経緯から京都府兵庫県奈良県和歌山県にはそれぞれ府県営の競輪場はありますが、豊中市営・大阪市営または府営の競輪場は現存しません。

 


▲服部緑地にあった豊中競輪場「ふるさとの想い出 写真集 豊中」より

 

大阪で公営競技が廃止されると、それまで遊戯だったパチンコを大阪府警OBの水沼年得がパチンコの出玉の換金を仲介業者で行う「三店方式(大阪方式)」を考案、金銭に交換可能なギャンブルとて大流行し現在に至っています。パチンコは効果音やパターン点滅を採用した射幸心を煽る遊技台を各メーカーが開発、パチンコホールも休催日もほぼなくリアルタイムベッティングで毎日営業するため非常に依存性が高くなります。そして、なにより収益が地域の自治体に還元されず、公益性がありません。

競輪はインターネットで全国の車券購入者から収益を獲得することができ、主催自治体の財政は潤いますがパチンコホールは地域の住民の金がどこかに流れていって地域が貧しくなるだけなのです。したがって、パチンコホールに休催日と上限を設け、競輪を再開することが大阪が元気だった頃に回帰する第一歩なのです。

民営のカジノやパチンコ・パチスロは性質上必ず依存者を多く生みます。精神科医の帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)氏がおこなった依存者の嗜癖調査では、患者100人中96人がパチンコ・パチスロを嗜好し、競輪は100人中たった1人、サイコロ賭博や花札よりも少ないという実態が報告されています。ギャンブルは依存しやすいからこそ「公営」でなければならないのです。

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