大阪市は古くから街中に水路が張り巡らされ最近では「水都大阪」を標榜し水辺や橋などの再整備を進めています。琵琶湖から流れ出た水は、淀川→大川(土佐堀川)→東横堀川→道頓堀川を経て、203のある堀江の南側を流れ大阪湾に注ぎます。
東横堀川は阪神高速で暗渠なっていて、同水系の中ではいまいちパッとしない区間でしたが、8月に新施設「β HOMMACHIBASHI」(ベータ本町橋)が完成、水辺利用の可能性を創造する新時代のパブリックスペースに行ってきました。

大阪市中央区を東西に走る本町通には市内で一番古い現役の橋「本町橋」という橋が架かっています。その橋の袂、かつては何もなかった護岸が活用され、船着き場や親水性の高い休憩のできる空間としてきれいに再整備されています。私は中央区民なので工事をしていたのは気付いていましたが、ゴロツキが床を据えていた堤防がまさかこんな雰囲気のいい施設に生まれ変わるなんて思ってもいませんでした。
「日常をアップデートする景色に出会おう」
施設は2階建てで1階フロアが水辺や公園と一体感がある構造で、2階は道路を挟んで商工会議所と向かい合っています。「β」とは「未完成」「実験中」を意味し、常にアップデートを繰り返すといった意味があるようです。建物はシンプルでカフェやインキュベーション事業などに活用されています。コロナの影響で賑わっているという感じはありませんでしたが、お笑いレポーターのタージンさんがたまたま番組の収録をされていて注目度の高さがうかがえました。

さらに同施設では水辺を利用したSUPや水上サイクリングなどのアクティビティが体験でき、東横堀川の四季を川面から感じることができます。水上自転車の料金は、1時間利用で、平日4400円、土日祝5500円(小学生半額)で、ライフジャケットを無料で貸してもらえます。バイクは1人乗りと2人乗りが選択でき、インストラクターが乗り方をレッスンしてくれます。乗った感じは、白鳥のない足漕ぎボートといった感じでしょうか。

下流の道頓堀川の戎橋から阪神タイガースが優勝すると飛び込む虎キチがニュースになり、川底に堆積したへドロや水質の悪さが指摘されます。市では水辺環境の改善のため、様々な取り組みがされ以前と比べ大幅に水質が良くなっています。幸か不幸か、コロナの影響で大川で開催される「天神祭り」が2年連続で中止され、ペットボトルなどのゴミが大幅に減少しているそうです。

東横堀川の本町橋あたりも、悪臭やゴミはないものの川底は見えず、取り組みは道半ばといった状況です。
東京五輪のトライアスロンで会場の東京湾に雨の際に下水がそのまま放流されているということが発覚して、問題になっていましたが、大阪市もかつては同じようにこちら水系に放水していて、道頓堀の悪臭の原因となっていました。対策として、北浜~天王寺間に貯留管「平成の太閤下水」を整備、あふれた汚水を一時的に留める大工事を実施、少しずつではありますが水質も改善してきています。

また「β HOMMACHIMASHI」のある地点は、3km東にある大阪市中浜下水処理場から超高度処理水を引き、東横堀川に放流することで水質の向上に寄与しているようです。

この処理水は、毎年「大阪城トライアスロン」が開催されている大阪城公園の東外濠にも放水されているようですので、そちらの水質も良くなっていくものと思われます。

▲ 東外濠を泳ぐ「大阪城トライアスロン」(2019年撮影)
水上自転車などこれらのアクティビティは観光目的に実施されているのだと思いますが、この水路はかつては水運や交通として活用されていたことを考えるともしかすると近い将来「水上自転車通勤」をする人も出現するかもしれません。




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