少し古いデータで恐縮なのですが、2018年滋賀県は自転車産業振興会の調査で1世帯あたりの自転車保有台数で大阪府を抑えて全国トップ、官民連携で交通安全など自転車振興に取り組み、琵琶湖の湖畔を周遊する「ビワイチ」は、政府が後押しする地域活性化策「サイクルツーリズム」の成功事例の筆頭で、自転車は観光のみならずレジャーや移動手段として定着、環境問題というメガトレンドに沿った計画が住みやすさとつながり、神戸・京都が人口減に苦しむ一方で、滋賀県は人口を堅持しているという投稿を8月にしました。
今回はまた滋賀県、沖島に行ってきました。

沖島(おきしま)は琵琶湖に浮かぶ有人島で人口約250人、1時間もあれば一周できるほどの小島で琵琶湖東岸の近江八幡市の堀切新港と沖島を連絡する航路があります。堀切新港からは所要時間は5分ほどですが、1~2時間に1本しか運航されていませんので、島に行くには時刻票をみてからでなければなりません。船には数人ほど観光に訪れた人が乗船していて料金は片道500円、普通は往復で購入することとなります。

島の中央部は山で、港は島の南側にあり、集落か形成されています。木造二階建ての住宅と畑、細い路地という日本の原風景で自動車・鉄道はなく、徒歩での生活となります。集落の路地は基本的に舗装されていて、山裾には階段が整備され墓や神社があります。島の主な産業は水産業で多くの世帯は船を所有、男性は生活のため島外へも行くライフスタイルとなり、一応自動車運転免許はほとんどの人が取得しているようです。

自動車がないためもちろんガソリンスタンドもなく、島民の移動はもっぱら自転車となります。1時間ほどの調査で島内で237台の大人用自転車が確認され100%近い所有率となっています。そして、特徴的なのはその6割にあたる142台が三輪自転車である点です。
見わたせばそこら中に三輪自転車が無施錠に放置され、サドルの汚れを防止するためかおかきの缶カンが被せられています。

島の北側のカフェの店主の方に話を聞くと、かつては漁業で水揚げされた魚介類を運搬するために利用された三輪自転車が島民の高齢化に従って増加していったと言っていました。
「クルマがないからみんな自転車、のんびりした島でしょう」
店主は中年男性で金儲けというより島の良さを知ってもらうため、Uターンで訪問者向けのカフェを開業したそうです。島には病院もコンビニもありませんが、小学校があり島外から通学する子供がいて寂しい感じはしません。

船着き場付近には三輪自転車のレンタサイクルもあり、修理もそこでしているそうです。少し前までこの島は猫が多住する猫の島として注目されたようですが、この日に見た猫はたった2匹でした。三輪自転車を活用したライフスタイルは独特で、何かをきっかけ大きな注目を集め、評価されてもいいのではないかと感じました。

インバウンドで観光客でごった返している京都や大阪にうんざりしている方は一度訪れてみてはどうでしょうか。



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