大阪関西万博が閉幕まであと数日となりました。開催前は建設費の収益面や安全面で多くの不安材料があり、開催反対の声も多くみられましたが、来場者2500万人で280億円の黒字、想像以上に評価され期間中に日経平均株価も高値を更新、訪日客も増加しました。
サイクルショップ203のある立花通りは普段から多くの外国人観光客がいるため、万博だからと言って目に見えて変わったという訳ではありませんが、国恥級の東京五輪の惨状と比べてはるかに素晴らしく、意味のあるイベントだったと思います。私は9月の休みに1日だけ行きましたがパビリオンの予約もすべて外れ、とにかく比較的空いているところに入って暑さをしのぐような感じでした。

一番注目を集めていたイタリア館ではジロ・デ・イタリアのトロフィーとイタリアンロードバイクが並べられ、文化財級のホンモノの展示物に長蛇の列ができていました。イタリア以外も人気パビリオンは2時間待ちはあたり前で入場制限され、行き場を失った人が大屋根リングを歩きまわり記念に写真を撮っていました。
SNSやインバウンドといった言葉もなかった時代の「愛・地球博」がそこそこ成功したのだから、まあそれなりには成功すると思っていましたが、猛暑の中これだけの人が来るのならもう少し開催期間を延長して欲しいと思えるくらい名残惜しさを感じました。
地下鉄のダイヤが乱れ帰宅できない人が発生したり、一部のパビリオンが開幕に間に合わないなどのトラブルはありましたが、開催前から懸念されていたガス爆発、テロ、津波といった惨事はなく、声高に反対していた識者が滑稽に映り、ますます大阪が活気づいたような気がします。

すぐに入場できたのは自国でパビリオンを出展できない小国を寄せ集めた「コモンズ」であまり耳なじみのない国の原始的な楽器や木彫りのお面などが展示、貧しさから脱っせない非文明地域の展示物はどれも同じに見えました。そんななかでバングラデシュが自転車部品を展示、内製化できる工業力をアピールしていました。
車輪は人類最大の発明の一つであり、国の経済の発展に寄与します。途上国が家内制手工業から工場制手工業(マニュファクチュア)に移行しさらに大きな設備投資をする際にはそれに見合う労働力が必要になり、人員の確保のため遠方からの通勤が必要となります。自転車があれば半径20kmくらいから労働力が確保できるため、経済発展の一里塚は自転車工場、特に消耗品であるタイヤ工場は非常に重要であると言えます。
中国も建国当初は朝の自転車通勤が風物詩となり「世界の工場」となりました。電車や自動車はおろかバイクやガソリンすらない途上国にとって自転車は重要で、いつまでも民族楽器を作っている国とバングラディッシュではどちらが経済発展をするかは明白です。

万博には公営競技から多額の費用が捻出され、広告や警備などの競輪の補助がなければ開催ができません。しかしながら、大阪府・市は一時期共産主義に肩入れしており、大きな収益を生んでいたにも関わらず迷惑施設として競輪場を廃止、共産主義政権が倒れた現在も施設の再開はありません。
1970年大阪万博の際も競輪資金で世界初の水平型エスカレーター「ムービングウォーク」を設置、日本の輸出品目となり今では世界のショッピングセンターや空港施設などに波及しています。ちなみに中央競馬は大阪は関係ないと協力姿勢をみせませんでした。大阪人が恩知らずなのか、競輪の運営がおひとよしなのか、夢洲にカジノ施設を設置すらなら、競輪場も併設すべきではないでしょうか。

数兆円を掛けて失笑された東京五輪と比較すると、夢洲を3000億円で新都市のたたき台となるビジョンやインフラ整備をできたことは日本経済にとっては非常に有益で、特に大阪府民・市民にとっては、府市所有の夢洲の土地が高く売却でき、IRなどの新産業の恩恵も受けることができます。
私としては木製の大屋根リングはそのまま競輪場の木製バンク(トラック)に転用して、批判を浴びた建設費2億円の公衆トイレは南堀江に移設して観光ニーズにしっかり対応して欲しいと思います。

酷暑だったので長くは滞在できませんでしたが、ガンダムの立像が人気だったのでまたアニメ博でもしたらどうでしょうか。夢洲は広大です。今後はどのように跡地が有効的に活用されるのか楽しみです。
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