大学の進学率が62.3%と過去最高になっているようです。大阪市の大学生は3万2500人と人口の1.3%ほどと京都市の10.6%と比較すると少なく、サイクルショップ203でも大学生による4年サイクルの買い替え需要はほぼないといってもいい状態です。大阪市にはいわゆる関関同立・産近甲龍という関西名門大のキャンパスもなく、この点においては有名大が集中する東京都とも大きく状況が異なり、女子大も大阪女学院大(中央区)のみとなっています。

少子化やジェンダーの影響で大阪女学院大の一般選抜試験志願者がたった7名と苦境に立たされ、外国人留学生で定員を充足させているようです。7月には国内最大規模の女子大である武庫川女子大(兵庫県西宮市)が2027年から共学化を発表するなど全国で98あった女子大は69校まで減少しているようです。

 

<2000年以降の大阪府下の主な女子大の廃止状況>
羽衣学園短大 → 2000年共学化
大阪成蹊女子短大 → 2003年共学化
大谷女子大 → 2006年共学化
大阪夕陽丘学園大 →2009年共学化
相愛大学→2020年共学化
大阪信愛学院大 → 2022年共学化

薫英女子短大 → 2013年廃止
大阪女子大 → 2014年廃止
プール学院短大 →2021年廃止
大阪青山女子短大 → 2021年廃止
大阪信愛短大 →2022年 募集停止

 

 

府全域でみても女子大は大阪樟蔭女子大(東大阪市)、梅花女子大(茨木市)、千里金蘭千里大(吹田市)と合計4校で、大阪市から自転車通学できそうなのは大阪樟蔭だけです。女子大の消失は研究・教育の低下だけでなく、労働や出産で将来の期待できる人口の流出につながります。

 

<現存する大阪府下の女子大>
・大阪女学院大
(大阪市)
・大阪樟蔭女子大(東大阪市)
・梅花女子大(茨木市)
・千里金蘭大(吹田市)

 

近年、若者の流出防止のため私大の公立化するながれがみられますが、女子大の公立化こそ地域の持続性につながるのではないでしょうか。基礎自治体が表立って若い女性だけの移住を求めることは難しいでしょうが、「公立女子大」は奈良・東京にありますので、大阪府にあってもおかしくはないはずです。

 


大阪府下にある4女子大のひとつ「大阪樟蔭女子大」の学校案内

 

女学院・梅花・信愛・プールは、大阪市西区の川口居留地が創設地です。開国後に来日した宣教師によるプロテスタント教会がルーツで英語や宗教教育、テニスなどスポーツを大阪にもたらしましたが、現在はキャンパスはひとつも残っていません。

現在、梅花大は6月投稿した関西大倉高校の西側にキャンパスを構えています。大阪市内からは離れていて校名はバイカ(BIKER)ですが、自転車通学は少し難しい立地となっています。経緯を調べてみると、この場所は1956年に田中格太郎というキリスト教信者の寄付によって開設されたようです。

 


▲大阪平野最北端の茨木市の山裾に所在する「梅花学園」

 

6月の投稿の通り戦時中大阪は軍都として栄え、ケシ畑の広がる大阪平野最北端の崖線には安威川地下倉庫や高槻火薬庫(タチソ)といった秘密基地が計画され、最終決戦に備えました。同じく茨木市内にある追手門学院は陸軍の残党によって設置され、関西大倉も「死の商人」こと大倉喜八郎によって建学されたました。これは偶然なのでしょうか。

もしかするとこの場所は「松代大本営」のオルタナティブで、終戦後も残党らによって軍事拠点に転用が容易にできるように教育機関を装い、計画的に集積されたのではないでしょうか。

 


▲教員および1600名の生徒で結成された梅花学園報国隊「豊中・吹田の100年」より

 

1995年出版された「豊中・吹田の100年」には戦時中の1941年に撮影された「梅花学園報国隊」の結成式の写真があり、とくに自転車隊は銀輪隊と呼ばれ「颯爽として異色を発揮した」と記録され、活躍したと記されています。創立記念式典では賀川豊彦の講演が行われ、府知事から訓示も布達されました。

 

国内態勢強化方策ニ伴フ学校教育ノ決戦体制ニ関シ、イカニシテ敵ニ勝ツカ、イカニシテ戦力増強ニ貢献スルカ、ソノタメ、第一、堅忍不抜、意志力ノ固イ生徒、第二、体育ノ向上ヲ計リ健康ニ育テルコト

 

国家体制が日増しに強まるなか女子学生にも薙刀や水泳訓練、自転車、送球(ハンドボール)が科目に採用され、本土決戦が近づくと学徒はより食糧増産や救護訓練が徹底され、報国隊は国鉄や郵便局、田辺や藤沢などの製薬工場、または住友金属や三菱など軍事工場に従事、下級生は松やに取りに駆り出されました。ハンドボールは国内無敵を続け黄金時代を築き上げ、阪急西宮大運動場では日独交歓送球大会が行われスポーツを通じて国際親善を果たすなど戦意向上の役割を果たしました。

 


▲握手を交わす「銀盤の女王」稲田悦子(梅花高)とアドルフ・ヒトラー

 

終戦をむかえるとスポーツに加えて英語教育に力をいれ、金蘭大と併せて「梅金」(バイキン)と言われ、数少ない女子学園として高い評価と実績を獲得しています。両校は自転車で20分ほどで行ける距離にあり、学部も看護・栄養・教育学など重複しているため今後も共存していくことができるのでしょうか。個人的には開設地の大阪市に戻ってきて欲しいと思っています。

Share on Facebook
LINEで送る
Bookmark this on Google Bookmarks