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あけましておめでとうございます。

猛威を振るうコロナの影響で正月休みも遠出を控え、今更ながら大流行のアニメ「鬼滅の刃」の動画を自宅でみていました。アニメは子供かオタクの人が見るものと考えていましたが、そのような考えは改めなくてはならないほどアニメは社会に浸透し、国内のみならず多くの人が日本発のカルチャーである「アニソン」や「コスプレ」などを嗜好し、経済的・文化的に日本の財産となっています。

アニメの楽しみ方のひとつに、作品のゆかりの地を巡る「聖地巡礼」があります。
鎌倉にある踏切は、どこにでもある何の変哲もない踏切なのですが「スラムダンク」の聖地として台湾人観光客が押し寄せているそうです。

「大阪にもなんかないのかな」と思っていたら、YouTubeでちょうど「じゃりン子チエ」第一話が無料公開されていたので、延方さんに譲ってもらったFUJI「feather compo」で聖地サイクリングに行ってきました。

「じゃりン子チエ」は戦後の大阪を舞台にしたテレビアニメで、私が子供の頃は夕方に再放送されていて、よく見ていた作品です。大人になってから再び視ると、人間関係や闇社会などの描写がまた違った見え方をします。

舞台は大阪市の南部、通天閣付近となります。
第一話「決めたれ!チエちゃん」は、ならず者のテツが実家に金をせびりに行くというのっけからバイオレンスな内容となっています。

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アニメの描写ではテツの実家は鉄道の高架の向こうに通天閣が見える木造家屋が密集する地域にあるように描かれています。高架の鉄道はおそらくJR環状線で、その南側となると「大阪市西成区山王1丁目」あたりということとなります。

 

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西成区山王1丁目のあるこのブロックは
北に新世界、
南に飛田新地、
西にあいりん地区、
東にハルカスなどを含む阿倍野再開発地区とカオスな周辺立地となっています。

周辺と比べると何もないところなのですが、かつては上方の芸人が70人以上集まる「芸人横丁」が存在し、「やすよ・ともこ」の実祖母・海原小浜や「大阪三大アホ」の一人・平和ラッパなどが住み、笑いの絶えないにぎやかなところだったようです。

 

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さて、テツの実家はどこなのか、
細かい場所の捜索です。

アニメでは、テツが博打をする金欲しさに実父をだまし、帰路に立つシーンが描かれています。
向かう先には踏切があり電車が走っています。

この線路は1993年まで天下茶屋=天王寺間を運行していた南海の天王寺支線だと思われます。

tetsu   kakemoto tetsu

昔の運行映像がYouTubeにあったので、確認するとこの路線の踏切は「飛田本通駅」の西側に1ヶ所あっただけなので、その場所まで自転車で移動、住所でいうと「西成区太子2丁目」になります。

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天王寺支線は廃線となり踏切もなくなっていますが、界隈の雰囲気は当時のままといってもいいのではないでしょうか。鎌倉の「スラムダンク」の踏切とは異なり、聖地巡礼をしているのはもちろん私一人ですが…

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天王寺支線の跡地は「山王みどり公園」というプロムナードになっています。

公園には、地べたに腰を下ろし弁当を食べている人や昼酒を飲んでる老人がちらほらみられます。西成では日常的な光景ですが、箕面のええとこ出身の私にはかなり衝撃です。

あと、この公園は「洗濯もの禁止」の看板がフェンスに大きく掲げられているので、巡礼の際はくれぐれも洗濯物を干したりしないように注意してください。

 

チエの家はどこなのか

テツはもっぱら博打やヤクザをカツアゲして生計を立てていますが、本職はホルモン店「テッちゃん」の経営です。「テッちゃん」は住居兼店舗で、第一話の時点ではテツとその娘のチエが住んでいます。原作の設定では「大阪市頓馬区西萩」とされているようですが、これは架空の住所なので正確な場所はよくわかりません。

主人公・チエの自宅はどこにあるのでしょうか。

私が注目したのがこのシーンです。チエがテツの実家から自宅であるホルモン店に戻るシーンなのですが、コンクリートで三面張られた高架をくぐっています。

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周辺には高架になってる線路はJR環状線以外にもいくつかあるのですが、グルグル回ってもこのような場所はスーパー玉出 新今宮店の北東側にある通路だけでした。

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これだけではホルモン店の場所を特定することはできませんが、通天閣との位置関係がわかる次のシーンが大きなヒントとなります。

 

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少し離れた位置に通天閣を望み、このままパンダウンされチエの自宅のホルモン店が映し出されます。

テツの実家のシーンと異なり、JR環状線の高架がないことから、通天閣の南側ではないことが分かります。
通天閣の東は天王寺公園ですので、東側はありえません。通天閣の北側まで行ってしまうと電気街として有名な日本橋なのでアニメの雰囲気と合わなくなってしまいます。

そうなると、高架をくぐってすぐの戎本町辺りと考えるのが自然です。

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実際に行ってみると、周辺はマンションに建て替えられていて、戦後の雰囲気とは大きく変わっています。
しかし、そこから通天閣を眺めると、各階に2つずつ窓がある4階建ての白いビルが残っていて、作画と一致します。

営業されている飲食店は新世界やJR線の南側と比べると多くはありませんが、何件かホルモン店もみつけることができます。

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ホルモンというといかにも貧民臭ただよいますが、焼き鳥の牛肉版です。
大阪は肉といえば牛肉で、特に新世界周辺では牛串焼きや牛串を揚げた「串カツ」を提供する店が多くなります。

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新世界周辺はサイクルショップ203がある堀江からも自転車で10分程度ですぐに行くことができ、昔ながらの大阪の雰囲気も残っている趣のある街です。今回は、第1話だけに限ったサイクリングですが、このアニメも60話以上あり、茶臼山や四天王寺などなじみの場所が登場しますので、機会あればまた行ってみたいと思います。