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大阪府の北部・豊中市に服部緑地という大きな公園があります。

当ブログでは、定期開催されている自転車パーツ類の蚤の市「シクロジャンブル」の会場として何度か紹介していますが、かつてこの公園内には「豊中競輪場」という競輪場がありました。

 

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(シクロジャンブル 2020年撮影)

 

 不祥事のあおりで5年で幕をとじた「豊中競輪場」

「豊中競輪場」は住之江、大阪中央競輪場に続き1950年に突貫工事で建設されました。敷地総面積39600坪、コンクリート舗装された500mの走路と15000席の観覧席を含む30000名の収容人員の競輪場で、55年までの5年間、大阪府や豊中市が主催となり競走が開催されました。

 

toyonaka keirin

toyonaka velodrome toyonaka keirin

 

公園内の詳細位置は「シクロジャンブル」がいつも開催されている「古民家集落広場」と言われている場所の北側にある「服部緑地陸上競技場」のあるところとなります。

この競輪場は、前述の「住之江競輪八百長騒ぎ」や「鳴尾事件」など相次ぐ不祥事を重く見た赤間文三知事[在任期間:1947-1959年]が、真っ先に閉鎖した施設で、現在では400mの陸上トラックやサッカーのコートに再整備され利用されています。

 

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自民党所属だった赤間は知事に当選すると次第に高慢な態度を取り、中央政治と対立、独断で府下の公営競技の全廃を決定します。こういった知事の姿勢はどことなく東京の小池百合子知事にも共通しているように思います。ただ、赤間は主立った成果のない小池氏と違い、大阪北部の丘陵地帯の開発案「千里ニュータウン構想」の地ならしなど後世に残る実績を挙げています。服部緑地もニュータウンの最南部に位置し、大型団地群と合わせて住環境の向上の一役を担っています。

 

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 | 大阪の絶頂期を支えた公営競技

千里ニュータウンには、計画的に千里北公園や千里中央公園などいくつか大きな公園が点在していますが、服部緑地の知名度はとりわけ高く、大阪で単に「緑地公園」といえば服部緑地のことを指します。理由としてはその大きさもさることながら、北大阪急行「緑地公園駅」の駅設置の強い影響があるといえます。1970年の日本万国博覧会(大阪万博)のアクセス手段として着工された同路線は、大阪の大動脈である地下鉄御堂筋線に直結し、北摂地域の主要路線になっています。また2年後の2023年には、現在の終着駅「千里中央」から箕面まで競艇マネーにより北へ延伸される予定となっています。

 

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70年の大阪万博には、競輪・競艇からそれぞれ約20億円が協賛金として拠出され、広報費や設備建設の事業費にあてられました。2005年の愛知万博でも、民間負担分の3分の1にあたる約200億円が公営競技からの資金となっていて、25年の大阪・関西万博でも資金源の柱と期待されています。

でも、どうでしょうか。

公営競技を反故にし続けてきた歴史がある大阪府に資金を要求できる権利があるのでしょうか。実際、70年の万博では、中央競馬会は支援を断っています。

大阪・関西万博は、大阪府だけの事業ではなく国家的プロジェクトです。前例を踏襲し、競輪を統括するJKAはおそらく大きな支援をすることでしょうが、見返りとして万博跡地の夢洲に競輪場施設の建設を許可することぐらいはしないと、筋が通らないのではないでしょうか。