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2021年05月の記事一覧

【追憶の競輪場FILE③】わずか5年で幕を閉じた豊中競輪場

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大阪府の北部・豊中市に服部緑地という大きな公園があります。

当ブログでは、定期開催されている自転車パーツ類の蚤の市「シクロジャンブル」の会場として何度か紹介していますが、かつてこの公園内には「豊中競輪場」という競輪場がありました。

 

cyclojumble2019
(シクロジャンブル 2020年撮影)

 

 不祥事のあおりで5年で幕をとじた「豊中競輪場」

「豊中競輪場」は住之江、大阪中央競輪場に続き1950年に突貫工事で建設されました。敷地総面積39600坪、コンクリート舗装された500mの走路と15000席の観覧席を含む30000名の収容人員の競輪場で、55年までの5年間、大阪府や豊中市が主催となり競走が開催されました。

 

toyonaka keirin

toyonaka velodrome toyonaka keirin

 

公園内の詳細位置は「シクロジャンブル」がいつも開催されている「古民家集落広場」と言われている場所の北側にある「服部緑地陸上競技場」のあるところとなります。

この競輪場は、前述の「住之江競輪八百長騒ぎ」や「鳴尾事件」など相次ぐ不祥事を重く見た赤間文三知事[在任期間:1947-1959年]が、真っ先に閉鎖した施設で、現在では400mの陸上トラックやサッカーのコートに再整備され利用されています。

 

hattori

 

自民党所属だった赤間は知事に当選すると次第に高慢な態度を取り、中央政治と対立、独断で府下の公営競技の全廃を決定します。こういった知事の姿勢はどことなく東京の小池百合子知事にも共通しているように思います。ただ、赤間は主立った成果のない小池氏と違い、大阪北部の丘陵地帯の開発案「千里ニュータウン構想」の地ならしなど後世に残る実績を挙げています。服部緑地もニュータウンの最南部に位置し、大型団地群と合わせて住環境の向上の一役を担っています。

 

toyonaka track

 

 | 大阪の絶頂期を支えた公営競技

千里ニュータウンには、計画的に千里北公園や千里中央公園などいくつか大きな公園が点在していますが、服部緑地の知名度はとりわけ高く、大阪で単に「緑地公園」といえば服部緑地のことを指します。理由としてはその大きさもさることながら、北大阪急行「緑地公園駅」の駅設置の強い影響があるといえます。1970年の日本万国博覧会(大阪万博)のアクセス手段として着工された同路線は、大阪の大動脈である地下鉄御堂筋線に直結し、北摂地域の主要路線になっています。また2年後の2023年には、現在の終着駅「千里中央」から箕面まで競艇マネーにより北へ延伸される予定となっています。

 

kitaosakakyuko

 

70年の大阪万博には、競輪・競艇からそれぞれ約20億円が協賛金として拠出され、広報費や設備建設の事業費にあてられました。2005年の愛知万博でも、民間負担分の3分の1にあたる約200億円が公営競技からの資金となっていて、25年の大阪・関西万博でも資金源の柱と期待されています。

でも、どうでしょうか。

公営競技を反故にし続けてきた歴史がある大阪府に資金を要求できる権利があるのでしょうか。実際、70年の万博では、中央競馬会は支援を断っています。

大阪・関西万博は、大阪府だけの事業ではなく国家的プロジェクトです。前例を踏襲し、競輪を統括するJKAはおそらく大きな支援をすることでしょうが、見返りとして万博跡地の夢洲に競輪場施設の建設を許可することぐらいはしないと、筋が通らないのではないでしょうか。

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【追憶の競輪場FILE②】府下最大のマネーマシン 大阪中央競輪場の興亡

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現在、大阪市には競馬場はひとつもありませんが、かつては長居公園内に「大阪競馬場」がありました。
1948年から59年までの11年間、地方競馬が開催され一時期は全国2位の売上があったそうです。

 

nagai park

長居公園は、住之江公園の2km東に位置し、地下鉄なら御堂筋線が利用でき交通アクセスも抜群です。

nagai kouen

 

敷地も広大で住之江公園の3倍ほどの面積があり、1年を通して四季折々の花が楽しめるだけでなく、公園内には博物館やプール、セレッソ大阪がホームとして使用しているサッカー場「ヤンマースタジアム長居」など施設も充実し市民の憩いの場となっています。

 

yanmar

 

長居公園にあった日本一の競輪場「大阪中央競輪場」

大阪中央競輪場は住之江競輪場の大成功を受け建設省に計画を出願、GHQ総司令部の了解のもと1950年に開場しました。年利1000%以上の投資効果が上がっていた住之江の勢いを示すように、正門アーチには桃山調の色彩美しい大理石、足元には厚さ10cmの御影石を敷き詰め、周囲には銀杏やつつじを植林、競走路も日本一立派に仕上げられ総工費はなんと住之江の4倍の9000万円という戦後間もない時期とは思えぬ豪華な施設でした。

 

osaka keiba

 

1958年発行の「大阪競輪史」によると、競馬場の北側に建てられた施設は、敷地総面積22000坪、コンクリート舗装された500m走路と25000の観覧席、106の窓口が設けられ、収容人員55000名という日本一の施設だったそうです。詳細位置は、現在の「ヤンマースタジアム」のある辺りにあったと推定できます。相乗効果があるのかは分かりませんが、この頃は公営競技場を併設するというスタイルよく見られ長居公園もこの形をとり、短い期間ですがオートレース場もあったそうです。

 

osaka keirin

 

大阪中央競輪場は、住之江と並び主要会場として空前の盛況を呈し全国屈指の売上高になり、府下の自治体に驚くべき収入をもたらしました。その使途は市営住宅の建設・病院の整備・地下鉄の延伸・厚生施設や学校の建設・保健衛生費、中小企業や失業者対策など多岐にわたり、敗戦で荒廃した都市を復興へと導きました。そして、大阪での成功を見て全国に拡大した競輪の総売上高は年間600億円、同書によるとこの金額は政府発行紙幣の6%に相当するらしく、娯楽としてだけでなく国民経済に多大な影響をあたえる公共事業だったようです。

 

osaka money

 

公営競技全廃を決めた大阪府の大誤算

 

しかし、住之江競輪場で発生した放火暴動騒ぎや鳴尾事件をきっかけに起こった「競輪廃止論」に大阪府知事赤間文三は、施行都市や関連執務員に相談することなく1955年にあっさりと府営の公営競技場の廃止を決定。すると、大阪府の財政は翌年の56年には赤字に転落、府の新規事業は殆ど見送り状態となり赤字危機は深刻な様相を呈するようになり、大阪府の後に続く自治体はありませんでした。

 

「人間は馬以下」 (東京新聞)

「便所が汚いからやめてしまえというような競輪廃止論は軽率だ (産業経済新聞)

 

マスコミや世論による批判は小さいものではなく、しばらくは全国各地の競輪場は自粛体制のもとで競走を実施、しかしながら競輪人気は高く、中央組織である日本自転車振興会や選手育成のための競輪学校を設立するなど事業の健全化を図り総売上高は2兆円にまで大きく成長、住之江・大阪中央競輪から得られる収益金は5000億円規模(WTCタワー 5個分)と推計され、赤間のとった方針は、あまりに独断的で明々白々と権力の乱用であったといえます。

 

 

コロナ禍、存在感を示す「進化した競輪」

 

仮に一点、暴動やギャンブル依存症による地域の治安悪化を理由に公営競技場の再開しないというなら、私はその考えは古く改めなければならないフェイズになっていると思います。

奈良競輪場の投稿でも少し説明しましたが、かつては周辺に住む人々がわざわざ競輪場に出向いて購入していた車券も、現在ではスマホやパソコンを利用し、インターネットで投票ができるようになり、「立地」と「治安」の関連性がなくなり、競輪場は所在するだけで全国からただ自動的に大きな収益を獲得できる優良なマネーマシンへと変貌を遂げているのです。

財政的に困窮している大阪府は、コロナ対策にも大規模な政策を打てずに感染が拡大しています。今こそ、府営競輪の再開を打ち出し、収益を病院建設や失業者対策、事業助成金などにあてるべきではないでしょうか。

 

【FILE③】では、大阪府北部にあった「豊中競輪場」の紹介をしたいと思います。

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