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2022年08月の記事一覧

忘れ去られた霊園、国内最大の軍人墓地「真田山陸軍墓地」

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(前回の投稿の続き)

法円坂交差点の南西角には、「大阪医療センター」という国立の大病院があります。その敷地には松下幸之助などによって建造された大村益次郎の大きな石碑が鎮座しています。益次郎は幕末~明治期の政治家で、近代化する日本の富国強兵のため大阪に陸軍の中枢を置き、事実上の指導者となります。しかしそれが災いし、1868年(明治2)京都にて襲撃され大傷を負い44歳という若さで絶命します。益次郎の死後も大阪は大阪城周辺を中心に軍都として栄え、1877年(明治10)の西南戦争では全国から多くの兵士が集められました。

 

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大阪医療センターの南東角にある「兵部大輔大村益次郎卿殉難報國之碑」

 

西南戦争は九州で勃発した日本最後の大規模内戦で、西郷隆盛率いる士族の反乱を制圧するため多くの犠牲者が発生、難波宮は臨時の野戦病院として使用され、病院で亡くなった戦死者を埋葬する墓地が必要となりました。そこで1kmほど南側の真田山に全国初の国立墓地が設置され、以後も日清・日露戦争などの戦没者を埋葬し国内最大規模の兵隊墓地となりました。

墓地の入り口には鉄製の門があり閉ざされていますが、くぐって入れるようになっていて、24時間誰でも墓参りができます。私が初めてこの墓地を知ったのは10年程前で、そのような歴史的経緯は一切知らずにたまたま訪れ、方錐形の風化した墓碑が並ぶ不思議な光景に驚き、関心を持っていました。

 

yasukuni
墓石が並ぶ「 旧真田山陸軍墓地」

 

敷地内には納骨堂と5000基以上の墓碑があり、明治期の戦死者が中心となっています。靖国神社との関係で第二次世界大戦の被葬者が少なく、戦後は忘れ去れてた存在となっていました。

 

<真田山陸軍 戦時別の墓碑数>
西南戦争 767基
日清戦争 1337基
乙未戦争 370基
日露戦争 413基
第一次世界大戦 20基
満州事変 25基
日中~大東亜戦争 2基

 

霊園施設の管理も国と自治体が押しつけ合い全く行き届いておらず、同じ天王寺区にある四天王寺の官長が中心となり設立された「大阪靖国霊場維持会」と地元町会の献身的な保護活動でなんとか維持をしていましたが、戦後70年以上の歳月を経て、墓石や施設などの傷みは大きく活動も厳しい状況だったようです。

2016年にNHKの大河ドラマ「真田丸」が放送されると、真田幸村のゆかりの古戦場として真田山は注目を集め、地元の商店組合や墓地に隣接する「三光神社」などではPR活動をしましたが、墓地を再整備する大きな動きはありませんでした。

 

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墓地に隣接する三光神社 大坂の陣「真田丸」推定地とされている

 

風向きが変わったのは2018年5月の橋下徹氏の訪問です。ご存じの通り橋下氏は2008~11年に大阪府知事、11~15年は大阪市長として政治活動をしていました。任期中は同霊園に訪問したり特別予算を組みことはありませんでしたが、引退後に政治コメンテーターとして精力的に活動、国会議員の靖国神社参拝の姿勢に対して自身の信念を強く表明するのに加え、同霊園の悲惨な状況の改善の要求を方々で展開しました。

橋下氏の要望に応え、2018年8月に日本維新の会が菅義偉官房長官(当時)に軍用墓地の管理の在り方について要望を提出、吉村洋文市長(当時)も会見にて安倍晋三首相(当時)に対して真田山墓地の管理修復を要求「国がやらなければ、大阪市として対応したい」と強い態度で焚きつけました。政府は翌年1月、全国44カ所ある旧軍用墓地について、年間300万円程度だった補修費を5年間で5億円程度に増額する予算を編成、地元自治体と補修計画を協議するなど対応を取り、現在は一部が工事作業中となっています。

 

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▲ 風化によりダメージがある墓石 (2015年筆者撮影)

 

 

靖国神社は神道系の神社ですが、この真田山は墓地です。それぞれの役割も異なっっていて、霊園敷地内には個人の墓碑以外に、5基の合葬碑、そして4万3000人以上の遺骨や遺髪を納めた木造の納骨堂があります。被葬者は、病死者や脱走兵、自殺者、外国人も数名含まれています。感染予防のため火葬された者もいれば、軍靴や帽子着用の正装で土葬で眠っている兵士もいます。明治期の戦没者が主となっているため、大東亜戦争後の東京裁判による「A級戦犯」はひとりもいません。訪問日は最後の大阪空襲があった8月14日でしたが参拝者の姿はなく、セミが鳴き散らしていました。おそらく大阪市内で最も三密を回避できる場所でしょう。

 

 

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▲ フェンスで囲われた木造の納骨堂

 

橋下氏は自身のツイッターで「霊園の国有化」と「首相・天皇陛下の参拝」を提案しています。任期中に何もしなかった橋下氏が陛下に進言するのはどこか腑に落ちないような気がしますが、当時は大阪の財政状況が悪く緊縮体制で、2021年11月のABEMA.TV「NewsBar橋下」で「抜かっていて、(墓地の存在を)知らなかった」と手落ちを認める発言をしています。

 

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▲ 将校の墓碑  墓碑の大きさは階級ではなく遺族の財力によるもの

 

私は自宅マンションが近いため初訪問からおそらく20回近く訪れていますが、霊園は本堂やモニュメントのようなものがないため、どこを向いて拝めばいいのか分からず、哀悼の意を儀礼化しにくいように感じます。(大きな将校の墓碑もありますが、はずかしながら不勉強で誰一人としてどなた分かりません…)
靖国神社に参拝したこのがある方はご存じかもしれませんが、参道には立派な大村益次郎の銅像があります。個人的は考えなのですが、医療センターの大村益次郎の石碑をこの霊園に移設してはどうでしょうか。明治期の人物の石碑が1000年以上時代が違う難波宮の交差点に鎮座している場違い感もありますし、共に戦った一兵卒と同じように合祀されることを本人も望んでいるような気がします。ちなみに益次郎は襲撃後に大阪に運ばれ真田山近くの仮病院で絶命しています。現在の位置に石碑があると、大阪医療センターで亡くなったような誤解が生まれるように思います。

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人身事故 全国ワースト1、魔の交差点「法円坂交差点」

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昨年末の本ブログで、大阪市「新今宮駅」の放置自転車が全国ワースト1であるという投稿をしました。大阪市による駐輪場数が不十分であり撤去自転車が他の自治体と比べ桁違いで、その背景をたどると在日朝鮮人による「鉄くず」収集という非常にデリケートな歴史的問題に行き着き、一筋縄にはいかないという内容であるという投稿です。この問題は引き続き本ブログで考察していきたいと思いますが、大阪には改善して欲しい社会問題がまだまだあります。

 

人身事故 全国ワースト1 「法円坂交差点」

日本損害保険協会「全国交通事故多発交差点マップ」によると2020年の交通事故の全国ワーストが大阪の「法円坂交差点」だそうです。協会によると人身事故件は交差点に集中、件数の多い交差点のランキングを公開しています。

 

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第1位 法円坂交差点 (大阪府) 22件
第1位 針摺交差点   (福岡県) 22件
第3位 梅新東交差点 (大阪府) 18件
第4位 讃良川交差点 (大阪府) 16件
第4位 西本町交差点 (大阪府) 16件
第6位  谷町9丁目交差点(大阪府) 15件
第6位  樋口町交差点 (大阪府) 15件
:

法円坂交差点の人身事故件数は22件、福岡県の交差点と同数でワーストとなっていますが、上位の大半が大阪府下の交差点となっています。大阪は人や自動車が密集しているため、全体として上位になりやすいのかもしれませんが、それ以外にも何か理由があるのでしょうか。自転車利用者としても事故に巻き込まれないため、現地がどのようなところなのか調査してきました。

 

houenzaka

大阪市中央区法円坂、交差点は南北に走る「上町筋」と東西に貫く「中央大通」が交差する場所で、大阪城天守の南西側、要するに大阪のド真中に位置しています。法円という名称からもわかる通り、高低差があり坂の頂上付近で、十字だけでなく高架道と合わせて上下にも交差した複雑な構造となっています。大阪は比較的平坦で坂道は少なく、大きな坂「大」の地名もこの上町台地の高低差に由来し、歴史的にも重要な坂となります。

それだけではなく、この交差点は「日本」「天皇」という呼称など自国史の起源となる重要な地なのです。

 

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「中央大通」は今から1400年程前の7世紀の史跡「難波宮」の中を貫き敷設されています。難波宮と聞いてピンと来ない方は「大化の改新」が行われた場所と説明すると分かりやすいかもしれません。「大化の改新」は古事記や日本書記などの最古級の歴史書が編成される以前の出来事で、その正確な所在地は長らくミステリーとされてきました。

 

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「我、幻の大極殿を見たり!」

 

1952年、堀江出身の考古学者・山根徳太郎は、それまで正確な所在が分かっていなかった「難波宮」を発見、古代国家史上最大の国政変革は戦後になってからの発掘でその詳細が分かるようになりました。日本人にとって非常に重要な難波宮は割と最近まで地中に埋まったため、道路が先んじて敷設されしまったのです。

このように国史上、重要な古都「難波宮」ですが、「平城京」や「平安京」などと比べ、イマイチ知名度が低い感じが否めません。そこで、大阪市と大阪府は難波宮遷都2050年に向けて国指定の史跡を再整備し、NTT都市開発を中心としたグループを指定し、レストランやカフェなどを整備し2024年の工事完成を目指し観光地化する計画となっているようです。

 

そうなると、ただでさえ全国ワーストの危険交差点がより、事故が増加しないのかという懸念が残ります。

この交差点での事故を分析すると、自転車は歩道橋を押して走行する構造になっているため、自転車事故は少なく、自動車の動静不注視による追突事故が多いようです。協会は十分な車間距離を取るようにドライバーに呼び掛けていますが、複雑に行き交う走行路や交通標識などに問題はないのかを再検証する必要性があるように感じます。

 

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2020年は全体として交通事故死者数が統計開始以来初めて3000人を下回ったそうです。交通事故発生件数もこの20年間減少を続け、30万件を下回る水準になってきています。減少の理由として、自転車レーンの設置や交通安全教育・悪質運転の取り締まりの強化などで自動車・自転車利用者のマナーが向上が主要因で、コロナの影響で外出機会が減りさらに大きく減少しました。

マスコミの印象操作やSNSデマで「危険!自転車交通事故は増えている!」などという内容を目にすることがあります。これは事実はありません。大前提として近年は交通事故は大激減しているというファクトと合わせて考察し、まちづくりしていくことが重要となります。

データは交通事故低減のヒントとなり、毎年取りまとめられて交差点改良の参考資料となります。今後も法円坂交差点の事故がどのようになるか注視していきたいと思います。

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自転車本を1000冊読んだ自転車技士がガチで選んだ10冊

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20年の自転車技士生活で読んできた自転車本は雑誌などを含めると1000冊以上となります。その中でも、この本はすごいという10冊を選んでみました。

 

自転車本を1000冊以上読んだ自転車技士がガチで選んだ10冊

 

ダウンロード
【書籍名】
二十四の瞳
【ジャンル】小説
【著者】壺井 栄
【発売】1952
【書評】現在国内では男女共に自転車に乗る。「二十四の瞳」はまだ自転車が高価だった昭和初期の瀬戸内海の島に都会から自転車に乗った洋装の女先生が赴任してくる場面から始まり、大きく社会情勢が変化する数年間を描く不朽の名作。

 

 

nc 1968
【書籍名】ニューサイクリング -1968年12月号-
【ジャンル】雑誌
【発行】今井彬彦
【発売】1968
【書評】1960年代の数少ない自転車情報の発信源「ニューサイクリング」誌。68年12月号は読者にとって伝説となる沼勉氏がフランスでオーダーしたルネルスが表紙、太い650Bタイヤや俯瞰した構図は日本の自転車業界に大きな衝撃を与え、名車中の名車として神格化。

 

 
cyclingbook
【書籍名】サイクリング事典
【ジャンル】実用書
【著者】鳥山 新一
【発売】1972
【書評】東大医学部卒、サイクリングの啓蒙ため「鳥山研究所」を設立し多くの手引書を残した輪業界の最重要人物である著者の代表作。とても一人で書いているとは思えない充実の内容は、それまで中学生まで遊びだったサイクリングを大学生や大人にまで広げ、バイブルとなった。難解な内容を明解に解説し、読後たちまち理論と教養を持ち合わせた「自転車マニア」になれる圧倒力は鳥山の真骨頂。

 

 

 

 

peddle kiko
【書籍名】世界ペダル紀行
【ジャンル】紀行
【著者】池本 元光
【発売】1974
【書評】4年4ヶ月かけ、五大陸42000kmを走破した自転車旅行記の金字塔。1968年8月に大阪を出発、旅先での出会いや苦労話は後に続くバックパッカーへの金言となる。帰国後は関西サイクルスポーツセンターに勤務、サイクリングの普及活動に人生をささげる。

 

 

 

 

 

 

cycleshports
【書籍名】サイクルスポーツ -1982年12月号-
【ジャンル】雑誌
【発行】八重洲出版
【発売】1982
【書評】「サイクルスポーツ」誌は、サイクリングから欧州ロードレースなどの競技まで網羅し、日本のスポーツ自転車文化をけん引する存在。1982年12月号ではその年公開の映画「E.T」のBMXとアラヤのニューモデルのインプレッションを特集、誌上初めてマウンテンバイクを紹介し、これをきっかけに国内でも広く普及するようになる。

 

 

 

 

monster bike
【書籍名】魔物たち
【ジャンル】企画本
【著者】新田 眞志
【発売年】1994
【書評】「ニューサイクリング」誌にて1985年から8年間続いた人気企画「魔物について」。連載当初はこだわりのドロヨケ付きのサイクリング車とオーナーの人物像にフォーカスした企画だったが、86年から新田氏が解説を担当し次第に読者から支持を獲得、100台を超える掲載車から32台を厳選した愛蔵版。

 

 

 

pistbikebible
【書籍名】ザ・ピストバイク・バイブル
【ジャンル】ムック
【発行】宝島
【発売年】2007
【書評】今まで公道で使用されることのなかった競輪用自転車「ピストバイク」がファッションとして注目され始め、若い男性がこぞってカスタムを始めるムーブメントが突如起こった。その全貌をファッションスナップなどストリートカルチャとして紹介、刺激を求める都会の不良の新たな自己表現の方法となる。

 

 

 

 

taiwan
【書籍名】「環島」ぐるっと台湾一周旅
【ジャンル】紀行
【著者】一青 妙
【発売年】2017
【書評】ミュージシャンの一青窈さんの姉で歯科医でもある著者が、父親の祖国でもある台湾一周自転車旅「環島」に自転車メーカーGIANTの誘いで参加した旅行記をまとめたエッセイ。およそ1000kmを9日間かけて出発地点に戻ると同じ風景がまた違って見えるという。台湾の名所やグルメガイド、自転車旅のハウツーなど見事に一冊に凝縮されていて読んでいて飽きない。

 

 

 

keirin culture
【書籍名】競輪文化 働く者のスポーツの社会史
【ジャンル】文化研究
【著者】古川 岳志
【発売年】2018
【書評】大阪で文化社会学の研究をしている著者が、戦後公営ギャンブルとし誕生し、歴史と共に発展する競輪の独自性を「文化」という切り口で考察。社会的影響や組織マネジメントなど新設予定のカジノにも通じる部分が多く、関係する方は必ず読んでおきたい一冊。

 

 

 

 

nostalgic cycle
【書籍名】日本 懐かしの自転車大全
【ジャンル】文化研究
【著者】内藤 常美
【発売年】2020
【書評】「関西輪業界の生き字引」新家工業の内藤氏による初の著書。内藤氏の知識量は膨大で世界でも右に出る者はいないほど。幅広い知識があるにもかかわらず「フラッシャー自転車」という誰も取り組んだことない専門書を送り出す意外性、作り手という実体験から得られた見地、豊富な資料など読み応え抜群の一冊。読んでいるだけで楽しくなる昭和の憧れの自転車の総覧は唯一無二の傑作資料。

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自転車パーツ Amazon店 売上げベスト10 【2022年上期】

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2022年上半期の Amaozn通販の販売点数トップ10ランキングです。
プライムでの出店なので送料もかからず、書籍や日用品類と同送できますので是非ご利用ください。

 

第1位 ()
wald 137
【メーカー】WALD
【商品名】137 バスケット
【税込価格】6,050~6,930円
【特徴】米国製のフロントバスケット

 

 

第2位 ()
mks always
【メーカー】三ヶ島 MKS
【商品名】ALLWAYS
【税込価格】7,920円
【特徴】ミニベロからグラベルバイクまで多目的で使用されるスパイクピン付きペダル

 

 

第3位 New
FJP600
【メーカー】THERMOS
【商品名】FJP-600
【税込価格】3,960円
【特徴】保冷力の高い真空断熱のステンレス製自転車用スポーツ水筒

 

 

第4位 ()
erogon ga3
【メーカー】ERGON
【商品名】GA3
【税込価格】4,950円
【特徴】人間工学に基づいた形状のマウンテンバイク用グリップ

 

 

 

第5位 ()
topeak roadie tt mini
【メーカー】TOPEAK
【商品名】ROADIE TT MINI
【税込価格】5,390円
【特徴】自転車ポンプ史上最高傑作との呼び声も高いロードバイク専用コンパクトポンプ。ツインターボ(TT)テクノロジーにより、圧縮された空気を楽々と入れることができる

 

 

第6位 ()
guee sl-dual
【メーカー】GUEE
【商品名】SL DUAL
【税込価格】5,060円
【特徴】雨や汗で滑りにくいポリウレタン製バーテープ

 

 

第7位 ()
tioga fastr
【メーカー】TIOGA
【商品名】FASTR X S-spec
【税込価格】5,280~5,500円
【特徴】ほぼ全てのトップBMXレーサーが使用しているTIOGAのタイヤ

 

 

第8位 ()
guee sl-dual
【メーカー】GUEE
【商品名】SL DUAL LTD
【税込価格】5,060円
【特徴】第6位の「SL DUAL」のメタリックカラーバージョン

 

 

第9位 ()
ergon gp1
【メーカー】ERGON
【商品名】GP1
【税込価格】5,610円
【特徴】握りやすい形状の定番のコンフォートグリップ

 

 

 

第10位 ()
topeak toploader
【メーカー】TOPEAK
【商品名】TOPLOADER
【税込価格】5,170円
【特徴】スマホ等を収納するのに便利なトップチューブ上側に取り付けるバッグ

 


 

| 値上げラッシュはこれからが本番?

様々な要因があると思いますが、昨年から自転車及び自転車部品の値上げが相次いでいます。
ランキング上位の人気商品も全商品が値上げの対象となっていています。

第4位「GA3」が、2020年4070円 → 21年4730円 → 22年4950円
第5位「ROADIE TT MINI」が、2020年4400円 → 21年4620円 → 22年5390円
第10位「TOPLOADER」が、2020年3630円 → 21年3960円 → 22年5170円

全体としてはインフレの影響を受けて、年8%ずつ価格は上がっています。

また、サプライチェーンの混乱が引き続いていて、供給が安定化せずAmazonでは「プレ値」が付く商品も出てきています。一時期と比較すると状況は改善して来ているように思いますが、正常化するまではまだ時間がかかりそうです。さらに今後加速する円安の影響が出てくることが予想され、値上げに歯止めがかからなくなる可能性が示唆されています。

 

 

 

 

※ Amazon.co.jpでの自転車本体の販売はおこなっていません。販売はパーツのみとなり、店頭の自転車パーツと少しラインナップがことなります。

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【追悼】石原慎太郎の屈辱と野望「新しい競輪」

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本年2月、作家で政治家の石原慎太郎が亡くなりました。ブログ投稿のためちょうど「巷の神々」(1967,サンケイ新聞出版)を図書館で借り、読んでいたところだったので大変に驚いたように覚えています。私は1978年生まれで作家時代の石原のことは実はあまり良く知らず、20年程前、東京都民だったせいか都知事としての印象が強く残っています。没後にその他の著作や関連書籍などを読み、私なりに「政治家 石原慎太郎」の政治人生を考察、本稿にまとめ、振り返ってみました。

石原は大学時代に「太陽の季節」(1956,新潮社)で芥川賞を受賞、産経新聞で「巷の神々」を連載したことをきっかけに宗教的な後援を獲得し、68年に自由民主党公認で参議院選挙に出馬、圧倒的知名度で史上最高の票数を集め初当選、72年には衆議院に鞍替えをします。

 

その頃、東京では社会党と日本共産党は同和問題を巡り対立、両党が支持する美濃部亮吉知事は、1975年4月の次期都知事選に不出馬を表明していました。ところが、衆議院任期中の石原が名乗りを上げると分裂状態の左派が「ファシストの石原だけには都政は渡せない」と一枚岩となり、3選を目指し美濃部を引きずり出します。

 

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都知事選で落選した石原慎太郎と片目ダルマ  (朝日新聞 1975年4月14日夕刊)

 

 

「都政の荒廃を立て直し、新しい東京をつくる。私は生まれ変わるつもりでこの大仕事に取り組みます」

石原は自民党の推薦を受け美濃部に挑みますが、大都市を中心に革新勢力が躍進、人口の多い東京・大阪・神奈川の3都府県で保守勢力が破れます。

 

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▲ 公営ギャンブル廃止を掲げ当選した美濃部亮吉 (朝日新聞 1975年4月14日)

 

美濃部亮吉はマルクス経済学者で、任期中に公営競技を公害の一種とし「公営ギャンブル廃止」の見解を掲げ、東京都競走事業廃止対策本部を設立し後楽園競輪・京王閣競輪など5施設の廃止の方針を示していました。石原の敗北はこれらの方針を決定づけるものとなりました。

 

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1973年に廃止された後楽園競輪場 「競輪二十年史」(1971,自転車振興会)

 

石原はその後に国政に復帰、1990年には長男の伸晃氏と共に親子で衆議院となり、95年に在職25年表彰を受け衆議院議員を辞職しました。伸晃氏は「父の頭の中には、24年前から一貫して都知事のことがあった」としています。

石原の衆議院議員辞職から4年後の1999年、青島幸男知事がわずか1期で都知事を退任、青島は東京都初の中道ノンポリのタレント政治家で、臨界副都心開発事業「世界都市博覧会」中止を公約に掲げ当選、公約通り都市博を中止したものの、ただそれだけで主だった実績がなく都民の支持を得ることなく任期を終えました。4月11日の選挙戦では石原は渡哲也など実弟の裕次郎の残した「石原軍団」総動員で、他の候補を退け雪辱を果たします。

 

ishihara shintaro
都知事に当選した㊨石原慎太郎と㊧長男・伸晃氏 (読売新聞1999年4月12日)

 

バブル崩壊による長期的な停滞や杜撰な会計で東京都の財政状況は石原の想像以上で、都は財政再建団体に転落寸前、石原は在任中に外形標準課税の導入や複式簿記化など財政の健全化に取り組みます。また同時に、「東京マラソン」や「首都大学東京」など意欲的に新しい政策事業にも取り組み支持を集め、共同通信の世論調査では「次の首相」として現職の小泉純一郎氏を抑え第1位となります。

 

「これまでの常識を覆す、若者や女性にも楽しめる斬新でスマートな競輪を目指す」
「ドームは雰囲気も違うので、昔と違ったイメージ活用したらいい」

 

石原は、公営競技廃止により美濃部都政以降に減少した都の財源の確保として、後楽園競輪の復活と「お台場カジノ構想」を2つを提唱します。

 

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美濃部路線の転換を表明した石原都政  (朝日新聞 2003年6月24日夕刊)

 

 

東京ドームは88年に完成、後楽園競輪場の跡地に建設され、地下に折り畳み式の競輪用バンクが設置されていると言われています。後楽園競輪場廃止は東京近郊にいくつも競輪場があったことからファンが分散しただけで、競輪の売上げが落ちることはありませんでした。しかし、公営競技の歴史に詳しい大阪商業大の古川岳志氏は「競輪文化」(青弓社,2018)で、後楽園競輪場廃止は「象徴的損失」であったとしています。
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後楽園競輪場の跡地に建つ東京ドーム (2021年7月撮影)

 

石原の新競輪の計画は地元住民の反対にあい難航、お台場のカジノ計画も構想を実現するには現行法の枠内では実現が難しく2003年に断念を発表しました。在任中、石原は2016年五輪招致に失敗や設立した「新銀行東京」の赤字化、さらには築地移転問題など批判も多かった一方で、長期不況で経済が全国的に停滞する中で「東京一極集中」といわれるほど、東京は発展し続け都民から高い支持をえていました。

都民そして全国の支持を受けて2010年に新党を設立、同年に大阪で産声を上げた地域政党「大阪維新の会」と協調し、12年には知事を辞職し「日本維新の会」代表に就任し国政に復帰すると、翌年には悲願のカジノ法案を提出します。法案は議論を重ね18年に成立、石原は高齢のため政界を引退していましたが、舞台は大阪の夢洲に移り準備を着々と進めています。

 

 

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▲ ㊧府市主導のディストピア「咲州」と㊨2025年万博・IRカジノ予定地「夢洲」

 

 

大阪では1955年に赤間文三知事が全国に先駆けて競輪・地方競馬の全廃を決定、55年に豊中競輪場、59年に大阪競馬場、62年に大阪中央競輪場、64年には住之江競輪場と次々に廃止または休止され、大阪府の財政状況は東京以上に悪化、財政健全化のため大阪維新の会代表の橋下徹知事が2010年にベイエリアにカジノ誘致の方針を表明します。安倍政権下で増加したインバウンド需要の恩恵を最も受けた大阪は街の景色を変えるほど観光客であふれ返り、カジノ新設は受け皿として打ってつけだったのです。計画では万博前の2024年に開場を目指していたのですが、コロナや土地整備問題で遅れ、首尾よくいっても26年頃となり経済効果を疑問視する声も上がっています。

 

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石原からバトンを受けた「日本維新の会」副代表の吉村洋文知事 (2020年11月撮影)

 

私は全くと言っていいほどギャンブルはしないのですが、財政論としてカジノという施設の有益性は大いにあり、施設ができたらどんなところなのか一度行ってみたいと思っています。カジノ賛成派です。公営ギャンブルの是非について様々な意見があることは知っていますが、石原が財政策として公営ギャンブルを推し進めてきた経緯はあまり知られていないように思います。

本ブログでは、以前から夢洲の万博跡地を競輪場として活用するべきであると主張しています。カジノ施設は収容人数が限られていて、日本だけでなく全世界から多くの来客があり、オープンからしばらくは入場ができないことは目に見えています。溢れ返った観光客をただただ返してしまうのはもったいないことで、本場のKEIRINを体感していただければ、他国のカジノとの差別化にもなり再訪にもつながるのではないでしょうか。

 

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