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大阪にはシマノ・ブリヂストンサイクル・ジャイアント・あさひといったいわゆる自転車業界とは別に、もうひとつ裏の自転車業界が存在します。それは怪盗団「アパッチ族」といった鉄くず収集業を源流とした北鮮系在日コリアン経営の中古自転車チェーンで、追随する新華僑によるチャイナシンジケート系中古自転車店と地下で激しい中古自転車の争奪戦が繰り広げられ、互いに大きな勢力になりつつあり、最大のチェーン店では34店舗を展開しています。

 

【参考】大阪市、撤去自転車売却「6万台」の闇 (2022年1月18日投稿)

 

これら中古自転車の主な供給元は、各自治体が撤去した引き取り手のない放置自転車で、本ブログではこれまでこの循環について、批判的な立場で実態の調査・考察してきました。物価上昇や貧困化で高まる中古自転車需要に応えるため、業者は大阪のみならず遠方にまで入札に向かい、集められた自転車を「山」という単位で取引しています。業者の有力な遠征先は、大学生が多く4年程度使用された良質な中古自転車が多い京都です。関係者に話を聞くと、大阪の山は「中古の中古」で、割に合わないといいます。全国で唯一中心部に国立大・総合大学が一校もない大阪と、大学進学率1位の京都はあらゆる面で相互依存関係にあるといえます。

 


北朝鮮に輸出される中古自転車 [京都・舞鶴港] 読売新聞 2003年6月14日

 

大阪市民としては学びの機会が多い京都は恵まれた環境のように思えますが、それはそれで大変なようで少子化などの影響で、京都市は年間で1万人以上の人口が減少し2年連続全国ワースト1位となり、財政状況が夕張市に次ぐ悪さで予算不足となり破綻の危機が迫っていると報道されています。

京都府は京都市内の振興策として左京区「北山エリア」の再整備を立案、老朽化した植物園や府立大学を建て替え、文化・学術・芸術・スポーツに触れられる空間の創出と地域の活性化を目指し、大型屋内施設の建設を計画しました。計画では耐震基準を満たさない学生数2000人の府立大の体育館を建替え、府民も一般利用できる1万人収容の大型スポーツアリーナを建設、文化イベントや学生スポーツの拠点として新たな交流エリア実現を目指すといったプランでした。国際的なイベントやコンベンションを実施するにあたり、スポーツ庁は全国に大型アリーナを20ヶ所ほど新設する計画で、大型施設のない京都府は候補地となり市内の活性化として一体となった構想計画です。

 

 


▲建替え検討されている築54年「京都府立大体育館」

 

 

ところがこの計画に対して、日本共産党京都府会議員団など5つの団体が署名活動など反対運動を展開、住民説明会では、レストランや売店の設置や敷地内の木を伐採を巡り議論は紛糾、オンライン書名サイト「change.org」では、「京都府立植物園が危ない!生きた植物の博物館の存続にあなたのお力をお貸しください!」と反対署名6.5万以上集めています。

 

 

 

一方で、京都府バレーボール協会など府内の6つのスポーツ団体は、京都市内ではなく京都府南部の人口6万人の向日市の向日町競輪場の敷地内にアリーナを建設するよう府知事に要望書を提出、「周辺環境との調和やアクセス面で、より望ましい」と説明しています。屋内競技団体の請願に対して、西脇隆俊知事は猛烈な反対が展開されている北山エリアに比べ向日市は周辺住民も整備のメリットを感じているとして「スピード感をもって検討を進める」と応じました。

 

 

京都には現存の府営の向日町競輪場とは別に、北山エリアの北東側の宝ヶ池公園内に市営の「宝ヶ池競輪場」があり、市の財政に寄与してきました。しかしながら、同エリアは歴史的に日本共産党の影響力が強く、同党が支援する高山義三市長(当時)が廃止を決定、市の財政状況のみるみる赤貧化し、現在にいたっています。

向日町競輪場も廃止こそ免れているものの全国でも最も悲惨な管理状況にあり、存廃を含めた議論が行われていました。アリーナ建設は抜本的な改革が必要な同施設にとって渡りに船の妙案で、誘致によりこれまで全く見向きもされなかった老朽施設の改善計画が急進する可能性が期待できます。

 

【参考】「京都向日町競輪」の存廃問題  (2023年4月13日投稿)

 

向日町競輪場は2025年に開催される「第24回全国障害者スポーツ大会」の委託会場になっています。この大会は持ち回り制でお隣の滋賀県の主催ですが、同県は2011年に競輪場を廃止し全国で唯一競輪場を保有していない都道府県で、滋賀のパラアスリートにとっては複雑な心境なのではないでしょうか。(個人的にはあまりパラスポーツは興味ありまませんが)いずれにしても、エレベーターや洋式トイレなど大規模な改修が必須といえます。

 


老朽化による廃止が検討されている「向日町競輪場」

 

門川大作市長の退任により、京都では現在、次の市長に向けた各党の候補者選びが本格化しています。先月の奈良県の投稿でも述べましたが、老朽施設を生かすも殺すも行政次第で、京都市民はこれまでのやり方が限界であり、市営競輪復活による財政健全化を最優先すべきではないでしょうか。