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自転車博物館 特別展示「イタリアン自転車展」を見に行ってきました

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自転車部品メーカーシマノが篤志で運営している自転車博物館 サイクルセンターで開催されている特別展「イタリアン自転車展」を見に行ってきました。

 

 

LEGNANO  レニアーノ
LEGNANO

100年を超える歴史を持ちイタリアンレーサーの礎を築いた名門ブランドLEGNANOの1948年製のからし色のロードバイク。BIANCHIやWILIERとともにイタリア自転車業の創世記をささえ、ファスト・コッピやバルタリなど伝説のライダーが使用したブランド。ペダルを逆回転させロッド式で変速するCAMPAGNOLO「カンビオコルサ」が搭載されている。展示車は1951年前後製造。

 

 

legnano road  legnano 1948

legnano campagnolo  legnano italy

 

 


 

MOSER   フランチェスコ モゼール

moser

フランチェスコ・モゼールは1970~80年代中頃に活躍したト自転車競技選手(ロード,トラック競技)で、1978年にブランドを設立し、80年からフレームを生産。前後タイヤ径の異なるファニーバイクで1984年には世界最速を記録(アワーレコード)。あまりに速すぎるために国際自転車競技連合(UCI)のルールを変更させたとまでいわれている攻撃的なポジションのフォルムをしています。モゼールの影響で1980年代はファニーバイクがにわかにブームになり、UCIのルール変更で、瞬く間に姿を消した80’sデザインの代表的な自転車です。展示車は1984年製。

moser bike  moser


 

MASI  マージ

masi

イタリア史上最高のフレームビルダーのひとりファリエロ・マージは、戦後まもない1949年にミラノの自転車競技場「ビゴレリ」内に工房をかまえファスト・コッピやエディ・メルクスなど伝説のレーサーのバイクを作成し、イタリアンバイクの黄金期である1960年を牽引しました。展示車は1972年製。

masi special  masi 1972

masi bike  masi pistbike

 


 

CINELLI チネリ
cineli

元ロードバイク選手チーノ・チネリによって創業されたCINELLIは、樹脂ベースのサドルやクイックレリースペダルなど革新的プロダクト生み出し続けました。なかでもクロモリ製ロードバイク「スーパーコルサ」は名作として70年代のイタリアンロードの指針となりました。展示車は1972年製。

cinelli handlebar  cinelli

cinelli  cinelli road

 


ALAN アラン

alan

ALANに関しては別の投稿にて詳しく掲載しています。

→ 【名車紹介】アルミ接着パイプ技法で常識を覆したALAN

 


 

⑥ PINARELLO ピナレロpinarello

1952年自転車競技選手 ジョバンニ・ピナレロが北イタリアにて創業。インデュラインやウルリッヒなど数多くの名選手が愛用し、近年のロードレースでは英国人を中心とした常勝チーム「SKY」が使用しています。展示車は2012年製のサー・ブラッドリー・ウィギンズ選手のレプリカモデル。

pinarello wiggins  pinarello dogma


 

DEI デイ

DEI

ミラノのDEIというメ―カーの1935年製ロードバイク。リムは木製で、Vittoriaというメーカーの「TIPO GIRO DI FRANCE(ツール・ド・フランス)」と刻印された変速機がついている。VittoriaがタイヤメーカーVittoriaと関係があるのかとか、1935年時点ではツールドフランスは変速機が禁止されていたのになぜそのような型名にしているのかなどよくわからない所が多い自転車で、館長に聞いてみるとDEIというメーカーすらよくわからないらしいです。

調べていると「TERMOZETA-DEI」というDEIの自転車チームの古いポストカードに、若き日のジョバンニ・ピナレロと思われる人物が写っているのを発見しました。詳細は調査中です。詳しい方情報お待ちしています。

INDUSRIA CICLI DEI   vittria

old italian cycle  vintage italy cycle


 

紹介した自転車以外にもDE ROSA 、GIOS 、COLNAGO などイタリアらしい美しい自転車が展示されています。

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話題の書 グラント・ピーターセン著「ジャスト・ライド」

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自転車業界で今、1冊の本が注目をされています。
グラント・ピーターセン著「ジャスト・ライド ~ラディカルで実践的な自転車入門」

 

justride

 

昨年2016年11月に発売されたこの本は、米国人で自転車メーカーのRivendell創業者の男性グラント・ピーターセンの「JUST RIDE」の翻訳書で、長年自転車業界で仕事をしている著者が自身の経験則から、業界の常識や米国自転車文化をシニカルに批判し、自転車を素直に乗ること自体を楽しむことを主張しています。

 

自転車レーサーは「ホイールの神々」だ・・・・・などという考え方は差別的だし、イカレてる

 

著者の矛先は自転車の製造業者や小売店、スポンサーや愛好家など全方向におよび、特に現在の自転車レースのあり方に大きな疑問を抱いています。共感できる部分も多いのですが、文体に品はなく、まるでマイケル・ムーア監督のドキュメンタリーを見ているようです。

 

ピーターセンの主張は8つ

①ライディング
②装備
③安全性
④健康とフィットネス
⑤アクセサリー
⑥維持
⑦専門知識
⑧自転車哲学

 

幼少期から自然に自転車に乗る日本と異なり、クルマ社会の米国においては自転車は常にオルタナティブな存在で、移動や買い物用として使用する大人は少なく、競技スポーツやレジャーのひとつとして特別な日に使用するという感覚のユーザーが多い現状があります。

著者のようなもっぱら自転車に乗っている大人はそれこそ変わり者で、「ジャスト・ライド」(只、自転車乗れ)といった主張は、日本人にはいまいちピーンときませんが、米国人にとっては非常にラディカルな発想のようです。

よろしければ、一読下さい。
Rivendellの自転車やタイヤはまさかの日本製です。

revendell

revendell rambouillet
▲ Rivendell 「Rambouillet」¥ 285,000 (受注生産)

 

 

revendell tire
▲ Rivendell ケブラータイヤ「Ruffy Tuffy」 700x28c  ¥ 4,800

 

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【名車紹介】アルミ接着パイプ技法で常識を覆したALAN

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自転車部品メーカーシマノが篤志で運営している自転車博物館 サイクルセンターで開催されている特別展「イタリアン自転車展」を見に行ってきました。

本稿では、展示車の1台から時代を変えたALANのアルミ製ロードバイクを紹介したいと思います。
ALANは1972年にルドヴィーゴ・ファルコ―二という技師がイタリアで興したブランドで、フレーム素材は鉄が当たり前の時代に、画期的なアルミ製フレームの自転車を製造し常識を覆しました。

 

alan

 

ファルコ―二は「カンパニョーロ社の自転車部品はアルミでできているのに、なぜフレームは鉄なのだろう」という疑問から、狂人扱いされながらもアルミ製フレームの自転車の研究を開始。当時、カンパは軽量化のために部品素材を鉄からアルミへシフトしている時代でした。

 

alan italy

 

そして、試行錯誤の末、アルミ製ラグにアルミ製パイプを接着するという工法でフレームを生産しました。しかし、当時の接着剤は紫外線に弱く技術も開発段階にあり、長年乗るとパイプが抜けるといった事例が発生していました。ALANの接手は接着面に工夫がされていて高強度で、レーシングバイクから市販車まで販売されました。

 

alan roadbike

 

現在、鉄フレームではラグを使用した作成法はよく用いられますが、アルミ製はあまりラグを使用しません。ALANの成功をきっかけにアルミ製自転車は増加し、溶接技術が向上。丸型パイプが原則となるラグドフレームは、設計の際の自由度が高い溶接フレームに駆逐されてしまいます。

 

alan lug

 

展示されているロードバイクは1973年にシマノがヨーロッパから2台輸入した内の1台で、現在は同博物館の館長の長谷部雅幸氏が選手時代に実際に使用し、全日本選手権3位など好成績を収めアルミの可能性を実証したその現車です。ただ、残念なことにチネリのサドル以外は当時使用した機材とは違うものがついているそうです。

 

alan 1974

 

シルバー色のアルミラグ部は一切飾り気はなく、トップチューブのパイプ径が25mm、ダウンチューブとシートチューブ径は28mmの鉄のようにスリムなアルミパイプは、ゴールド色にアルマイト加工されています。もともとはOEM生産用商材でドイツの某メーカーのステッカーが貼ってあったそうです。
同時に輸入されたもう一台はシルバーの地肌色で、分析研究用に解体されたようです。(分解の詳細は「ニューサイクリング」1975年1月号Vo122に掲載されています)

 

alan aluminum

フレームには3種類の最適化されたアルミ合金が使用されていて、注目を浴びたいがために製作したのではなく、アルミ車の可能性を研究して本格的に製作されたものだとわかります。

 

 

alan 1973

 

その後、ALANの自転車はシクロクロス競技において独壇場といえる活躍をみせ、カーボンチューブを使用した新技術で他社をリードし、アルミやカーボンといえばALANの自転車という状態になったそうでう。今ではどこのメーカーでもやるようになりましたが、当時は時代の先をいった先進的なメーカーであったといえます。

 

 

alan japan

 

 


 

■ 日本のアルミ自転車  三菱重工「十字号」

ALANがアルミ製自転車を開発する30年ほど前に日本ではすでにアルミ製自転車を国産化していました。

mitsubishi jyuujigo

戦後、軍事産業から民需へ転換するために自転車製造へ参入したメーカーが数社ありました。三菱重工は戦闘機づくりの技術を応用しリベット打ちしたジュラルミンで自転車を製造していました。

 

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自転車博物館『巨匠の追い求めた美しい自転車』展

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自転車部品メーカーシマノが篤志で運営している自転車博物館 サイクルセンターで開催されている特別展「巨匠の追い求めた美しい自転車展」を見に行ってきました。

2階の入口のすぐ側で4台のみ展示されているミニ企画展示で 2017年5月18日(木)~7月17日(祝)の期間、ハンドメイドサイクル界の2大巨匠 栗田秀一と今野義の両氏の自転車が各2台展示されます。

 

<テーマ展示>

・栗田 秀一「曲線の造形美の自転車」 Möbius  メビウス
・今野 義「速を追求した機能美の自転車」 3rensho シクロウネ

 

■ 栗田 秀一

カァーヴェィシャス フレームの造形美を求め、高強度鋼管を自由に操り、美しい曲線にて構成した立体的造形の自転車。その究極は『左右非対称フレーム』となって表現された

 

mobius cycle

mobuis kurita

kurita cycle

handmade cycle

frame builder

栗田氏は東京・浜松町にて1914年からMöbiusブランドのオーダー自転車を製造していて、卓上の知識や真実性のない数値を否定し、乗り手と自転車のトータルバランスを限界まで追求したレース用自転車やツーリング車などを「経験則」と「人間通の関与」により大観的な感性にて製作していました。

哲学と芸術を融合したような複雑なフレーム構造は、通常の11本のチューブで構成される自転車とは全く違う個性的な造形をしています。

mobuis cycle

kurita cyclesport

3d cycleframe

 

 

 

 

 

■ 今野 義
選手の持つ“力を最大限”に引き出させ、 “空気抵抗を最小限”にし、速く走る 自転車を創造し作り上げた自転車。その結果として「1996年 アトランタ オリンピック」にて銅メダルを獲得。 より速くの機能美が追求された自転車はブローダックスにて表現された

3rensho

3rensho konno

 3rensho cyclone konno

cyclone konno

今野義氏の兄は日本の自転車ビルダーのパイオニア今野仁氏(今野製作所・CHERUBIM)で、義氏は丸石自転車に勤務した後、1973年神奈川県東大和にてシクロウネを立ち上げ3RENSHOブランドのハンドメイドサイクルを製作。

マウンテンバイクやロード、トライアスロンからラグ、エンド、部品までを自身で作成し、後期にはチーフビルダー牧野政彦氏とともに世界を目指し、アトランタ五輪では十文字貴信選手がトラック種目(1kmタイムトライアル)にて銅メダルを獲得しました。下(写真)は十文字選手の五輪で使用したサブバイクですが、レースをしているようなイメージの平置きの展示だったので、写真を撮るのが難しく、全くうまく撮れませんでした。すいません…

 

 

3rensho cycle

 

 

cyclone 3rensho

jyuumonji

jyuumonnji 3rensho

 

 

 

 

 

 

 

 || 自転車博物館 サイクルセンター

shimano cyclemuse

住所:大阪府堺市堺区大仙中町165-6 大仙公園内
運営:財団法人 シマノサイクル開発センター
アクセス:JR百舌鳥駅 徒歩10分
営業:10:00-16:30 (月曜閉館)
料金:一般 200円 (団体・学生・障がい者・高齢者割引有)

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谷垣禎一氏が会長を務める「日本サイクリング協会」の消えた2.7億円問題から1年

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ちょうど一年前の2016年6月27日、
インターネットニュースサイト「産経ニュース」が以下のように報じました。

 

公益財団法人「日本サイクリング協会」(東京都品川区)が、コンサルティング会社に運用を委託した資金約3億円のうち、約2億7千万円が回収できなくなっていることが27日、協会への取材で分かった。同社側は協会に対し、当初の説明とは別の事業に投資したと話しているが「返済の意思はある」と説明しているという。

協会によると、平成23年3月ごろ、東京都内のコンサル会社に資産運用を相談した。「シンガポールの銀行の割引円建て債を約2億6千万円で購入すれば3年後に3億円になり、約4千万円の利息も入る」との説明を受け契約。約2億6千万円を入金した。

26年3月には資金が3億円になったとして、この3億円の運用について改めて契約したが、今年3月に同社から「資金は無関係の事業に投資して焦げ付かせた」と説明を受けたという。協会は今年1月までに約3千万円を返却させたが、残りの約2億7千万円は回収できていない。(産経ニュース 2016 6/27)

 

「日本サイクリング協会 (JCA)」は政府監督下の財団法人で、1964年に設立の歴史のある組織です。

サイクリング指導員の育成、サイクリングの研究や大会の開催などの事業を行っているほか、各都道府県のサイクリング協会に日本自転車工業会や競輪(JKA)から得た活動費を分配したり大会を運営したりしている団体です。

50年以上の歴史がある組織ですが、少し前より会員数が減少していて存在感が低下していました。
しかし、自民党の代議士谷垣禎一氏に会長が変わると状況は大きく変化します。

 

jca
▲ JCAの組織図 (ホームページより)

 

ご存知の通り谷垣氏は自民党幹事長を務めていた有力代議士で、大の自転車マニアとしても知られています。

そのマニアっぷりも筋金入りで、大学時代はサイクリングに熱中するあまり留年、自転車のコレクションもデローザのキング,チネリのスーパーコルサ,アレックスサンジェのスポルティーフなど1台数十万円クラスのスポーツ自転車を複数所有し、度々自転車雑誌に登場しては熱弁をふるったり、イベントや公演などにも東奔西走していました。

ここ数年自転車ブームは谷垣会長の力添えがあったからこそで起きたといっても言い過ぎではなく、その集大成が2016年12月に成立した自転車活用推進法でした。

 

jca

 

ところが、立役者の谷垣会長は資金問題発覚直後の昨年夏に皇居周辺をサイクリング中に転倒、当初自民党は軽傷と公表しましたが、後日、頸髄損傷の重傷と訂正し長期入院、その後は国会はおろか公の場に一切姿を見せていません。

これらの問題をめぐるマスコミ各社の報道も冷ややかで「産経ニュース」が報じた以外は、読売新聞の取材に対しJCA側が「概ね事実」と認めたことをインターネットで報じた程度で、新聞紙面やテレビなどでは報じられていません。

 

協会資金は戻ってくるのか?
東京都内のコンサル会社とはいったいどのような会社なのか?
またなぜ協会資金の大半といえる3億円もの大金をこのコンサル会社を介し運用したのか?

資金喪失のまでの経緯やJCAとコンサルの関連性など
マスコミ報道がほとんどないため(資金問題を本投稿で初めて知った方も多いと思います)、多くの疑問点が残ります。

また輪界人として運営資金を失ったJCAの継続性と谷垣会長の回復具合もたいへん気になります。

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